札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

ダイエット(ここでは、体脂肪量を減少させ身体を引き締めること、と定義します)を成功させるためには、これまでの栄養状況を見直し、食事改善をするのが最も効率的です。

食事改善はせず、例えばウォーキングやエアロバイクなど、運動を取り入れるだけでもダイエットを成功させることは十分に可能ですが「効率」という観点からはやや劣ります。

しかし、一口に食事改善とは言えど、カロリー摂取量は?たんぱく摂取量は?など、様々な項目があるため、何から取り組むべきかわからない方も多いのではないでしょうか?

今回は、そんなお悩みを持つ方に向けて、ダイエットにおける食事改善の優先順位について記事を書いていきたいと思います。

食事改善-優先順位表

最初に結論からお伝えしますが、ダイエットを成功させたいのであれば、下の「食事改善-優先順位表」を基本に取り組むことをオススメしています。

優先順位 内容
1位 カロリー摂取量
2位 タンパク質摂取量
3位 脂質・糖質(炭水化物)摂取量
4位 食物繊維・微量栄養素摂取量
5位 水分摂取量

各項目のおおまかな説明

1位:カロリー摂取量

一番初めに取り組んでいただきたいのが、カロリー摂取量です。

ダイエットを成功させるためには、カロリー摂取量をカロリー消費量よりも抑える必要があります。

つまり

カロリー摂取量>カロリー消費量

このような状態にしてあげるわけです。

この構図は、一般的にアンダーカロリーと呼ばれており、ダイエットにおける最も重要なポイントになります。

これを守らずしてダイエットを成功させることは不可能、と覚えていただいて問題ありません。

では、カロリー摂取量をどれくらいに設定すれば良いのかと言うと、これはその方の環境によって変わるため、一概に〇〇kcalとお伝えすることはできません。

しかし、おおよそを推定することは皆様にも簡単にできます。

①まずは(国立健康・栄養研究所の式を用いた基礎代謝量の推定)のページで、基礎代謝量を求めてください。なお、体組成計が身近にある方は、そちらの数値を使用してもOKです。

②次は、下の表より、日常生活の内容から身体活動レベルを求めます。

身体活動レベル 1.4〜1.6 1.6〜1.9 1.9〜2.2
日常生活の内容 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事・軽いスポーツ等のいずれかを含む場合 移動や立位の多い仕事への従事者、あるいはスポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合

平成29年国民健康・栄養調査の調査テーマについてより改変

デスクワーク・通勤は車・休日は自宅でテレビゲーム、みたいな生活を送られている方は〜1.6、看護師・通勤は片道20分の徒歩・休日はフィットネスクラブで2時間のスタジオレッスン、みたいな生活を送られている方は1.9〜、といった感じです。

③求めた基礎代謝量と身体活動レベルを掛けます。これが、カロリー消費量です。

④求めたカロリー消費量から体重の10倍を引きます。これが、守りたいカロリー摂取量です。

仮に、基礎代謝量1300kcal、身体活動レベル1.6、体重65kgの方がいたとすると

1300 × 1.6 – 65 × 10

となり、1430kcalが目指すべきカロリー摂取量になります。

ちなみに、求めた基礎代謝量・身体活動レベル・カロリー消費量は、あくまでも推定値にすぎません。

そのため、導き出されたカロリー摂取量を守れば「必ず体脂肪量が減少し身体が引き締まる!」と断言することはできません。

しかし、大抵の場合は、このカロリー摂取量を守れば、1週間あたり体重の1%前後の体脂肪を落とすことができるはずです。

もっとも、ゆったりとしたペースでのダイエットを希望される方は、求めたカロリー消費量から体重の5倍を引いたカロリー摂取量を守るようにしてください。

2位:タンパク質摂取量

カロリー摂取量が守れましたら、次はタンパク質摂取量に気をつけていきましょう。

ご存知の通り、タンパク質は筋肉の材料になる栄養素で、肉や魚や大豆などに多く含まれています。

いくら体脂肪量が減少し身体が引き締まったとしても、筋肉が痩せ衰えれば、美しいボディラインとは一般的に言い難いでしょうし、例えば転倒して骨折したりと、生活の質にも悪影響が出るかもしれません。

タンパク質摂取量をおろそかにしたダイエットは、必ずと言って良いほど筋肉量を低下させます。

そのため、カロリー摂取量が守れましたら、次はタンパク質摂取量に気をつけていただきたいわけです。

では、タンパク質摂取量をどれくらいに設定すれば良いのかと言うと、巷では体重の2倍がオススメされています。

体重65kgの方では130gです。

しかし、当ジムでは、体重の1〜3倍と状況に応じて臨機応変に対応しています。

体重65kgの方では65〜180gです。

まず、先述した通り、タンパク質は筋肉の材料になります。

そのため、もちろん限度はありますが、ダイエット中はタンパク質摂取量を豊富にするに越したことはないでしょう。

筋肉量の低下を防ぐことに繋がる可能性が考えられます。

また、豊富なタンパク質摂取量は、満腹感を得やすい=食欲を低減させるとの報告もあるほどです(1)。

このような理由から、当ジムでは、基本的に体重の2倍以上のタンパク質摂取量を推奨しています。

しかし、タンパク質摂取量を豊富にすると、当たり前に他の栄養素を抑えなければなりません。

脂っこいものや主食を少なくする必要が出てきますので、好きなものがほとんど食べられず、ちょいとツライ方もいらっしゃることでしょう。

また、タンパク質摂取量を豊富にすると「お腹がムカムカする」や「体臭がキツくなった」などの意見をいただくこともたまにあります。

そのため、当ジムでは、基本的に体重の2倍以上のタンパク質摂取量を推奨していますが、状況に応じて臨機応変に対応する(タンパク質摂取量を減らす)ようにしています。

3位:脂質・糖質(炭水化物)摂取量

カロリー摂取量、タンパク質摂取量の次は、脂質・糖質(炭水化物)摂取量に気をつけていきましょう。

巷では、油や脂などの脂質をガッツリ制限したり、米や麺やパンなどの糖質(炭水化物)をガッツリ制限したりする食事法がありますが、当ジムでは、どちらの栄養素もバランスよく制限することをオススメしています。

まず、脂質はホルモンや細胞膜を作る材料です。

そのため、過度な脂質制限は、ダイエット云々ではなく健康に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。

一方、糖質(炭水化物)は特に筋トレをはじめとした強度の高い運動において重要なエネルギー源となります。

「一切の運動をせず、食事改善だけでダイエットに挑戦する!」という場合以外は、やはりそれなりに糖質(炭水化物)摂取量を確保しておいた方が良いでしょう。

では、脂質・糖質(炭水化物)摂取量をどれくらいに設定すれば良いのかと言うと、脂質摂取量はカロリー摂取量の20%前後、糖質(炭水化物)摂取量は残り分です。

仮に、カロリー摂取量が1500kcal、体重が65kg、タンパク質摂取量を130g(体重の2倍)に設定した場合は

・脂質摂取量:1500kcal × 20% = 300kcal = 33g
・糖質(炭水化物)摂取量:1500kcal – 520kcal – 300kcal = 680kcal = 170g

このようになります。

ちなみに、1gあたりのタンパク質は4kcal、脂質は9kcal、糖質(炭水化物)は4kcalです。

もっとも、この数値はおおよその目安に過ぎません。

ダイエットにおける食事改善の優先順位は、1位がカロリー摂取量、2位がタンパク質摂取量、そして3位に脂質・糖質(炭水化物)摂取量です。

そのため、ここで紹介した数値通りにダイエットを進める必要はありませんので、一度ご自身で実践していただき、体調と相談しながら、脂質・糖質(炭水化物)摂取量を微調整していただければと思います。

4位:食物繊維・微量栄養素摂取量

まず、食物繊維は絶対的に必要な栄養素ではないものの、腸内環境や血中コレステロール濃度に関係しており、野菜やキノコや海藻などに多く含まれています。

ダイエットに対して直接的に影響する栄養素と言うよりかは、低カロリー、かつ健康維持をサポートしてくれる良いやつ、みたいなイメージが適切かもしれません。

実際、食物繊維には空腹感を抑える効果も確認されているみたいです(2)。

続いて、微量栄養素はビタミンとミネラルのことを指しており、こちらも食物繊維同様、健康維持をサポートしてくれる働きがあります。

カルシウムは骨や歯を形成したり、ビタミンAは皮膚や粘膜の新陳代謝を促進したり、といった具合です。

そのため、カロリー摂取量、タンパク質摂取量、脂質・糖質(炭水化物)摂取量の次は、健康維持に大きく関わる食物繊維・微量栄養素摂取量に気をつけていただきたいわけですが、この2つに関しては、食物繊維〇〇g、カルシウム〇〇g、ビタミンA〇〇g、みたいに、各栄養素の詳細を把握する必要性はあまり高くないかと思われます。

ダイエットにおける食事改善の優先順位としては4位ですし、ビタミンやミネラルは多種多様に存在、かつ「微量」栄養素ですので、目標量の単位がgではなくmgであったりと、覚えるのに結構大変だからです。

このような理由から、当ジムでは、食物繊維〇〇g、カルシウム〇〇g、ビタミンA〇〇g、みたいに、各栄養素の目標量をお伝えするのではなく、以下の2点に気をつけていただくことをオススメしています。

①カロリー摂取量500kaclにつき、大きめの茶碗1杯分の野菜やキノコや海藻などを食べる。
②特定の食材に偏るのではなく、バリエーション豊富な食事を心がける。

です。

こうすれば、食物繊維・微量栄養素摂取量は相当に確保できます。

もし、①と②が難しいようであれば、例えばマルチビタミンなどのサプリメントを利用するのも全然アリです。

また、ダイエットではカロリー摂取量を制限しますので、必然的に食事量も少なくなり、①と②を気をつけていたとしても、食物繊維・微量栄養素摂取量をあまり確保できていないこともあるかもしれません。

近年のサプリメントは優秀なものが多くなっていますから、状況に応じて臨機応変に取り入れるようにしていきましょう。

5位:水分摂取量

次は水分摂取量です。

まず、水分はダイエット云々ではなく、生命活動に即座に直結する重要な栄養素です。

先に記載したタンパク質や脂質や糖質(炭水化物)などは、極端な話、長期間摂らなくても生きていけます。

実際、私も2週間に渡って絶食した経験があります。

が、水分に関しては別です。

水分を摂らないと、置かれた状況によっては、数時間もしないうちに脱水症状が表れ、最悪の場合そのまま死に至るかもしれません。

また、水分を摂らず脱水が進むと、運動のパフォーマンスにも悪影響が出るようです(3)。

ということを踏まえると、考え様によっては、水分摂取量を食事改善の優先順位において1位に位置させてもおかしくないかもしれないのですが、今回の記事はあくまでも「ダイエット」に焦点を当てていますし、食材によっては多量に水分が含まれていますし、飲料を全く摂らない方はまずいないかと思いますので、ここでは5位としています。

では、水分摂取量をどれくらいに設定すれば良いのかと言うと、当ジムでは、少なくとも体重1kgあたり30ミリリットルの水分を飲料として摂られることをオススメしています。

仮に、体重70kgの方がいたとすると、少なくとも2.1リットルは水やお茶やコーヒーなどを飲みましょう、ということです。

もっとも、この数値はあくまでも目安に過ぎません。

真夏、炎天下の中でランニングをしようものなら、それはもう大量に汗をかくでしょうから、体重1kgあたり30ミリリットルの水分ではまず間違いなく足りなくなります。

そんな時は、尿の色で水分が足りているかどうかを判断した方が良いかもしれません。

詳しくは(こちらのリンク先)をご覧いただきたいのですが、ここには尿の色で脱水状態をチェックする方法が書いてあります。

最後に

ダイエットにおける食事改善の優先順位について記事を書いてきましたが、今回触れなかった食事の回数やタイミングやGI値などは、そこまで気にしないでもらってOKです。

もちろん「それらは全くもってどうでも良い!」とまでは言いませんが、ダイエットにおける食事改善の優先順位としては6位以下です。

それよりも、まずはカロリー摂取量を守り、続いてタンパク質摂取量、脂質・糖質(炭水化物)摂取量、食物繊維・微量栄養素摂取量、水分摂取量を意識したうえで、何よりも継続することに重点を置きましょう。

これはどんなジャンルにも当てはまることだとは思いますが、何かで結果を出すためには、気長に続けることが重要になります。

いずれ、今回触れなかった食事の回数やタイミングやGI値などについても記事を書いていく予定です。

では、本日はこの辺で。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

<参考文献>

(1)Effect of short- and long-term protein consumption on appetite and appetite-regulating gastrointestinal hormones, a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

(2)Dietary fibres in the regulation of appetite and food intake. Importance of viscosity

(3)Does Hypohydration Really Impair Endurance Performance? Methodological Considerations for Interpreting Hydration Research