札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

筋トレでしっかりとした効果を出したいのであれば、重量・回数・セット数・トレーニングボリューム(重量×回数×セット数=総負荷量)など、様々なプログラム変数に気をつける必要があります。

例えば(1)では、スクワットやベンチプレスなどの基本的なエクササイズにおいて、被験者を高重量・低回数グループと、中重量・中回数グループに分け、同セット数に設定し、8週間トレーニングを継続してもらったところ、筋力向上は高重量・低回数グループが、筋肥大は中重量・中回数グループがより効果的だったとの結果が得られました。

一方で、スクワットやベンチプレスなどの基本的なエクササイズにおいて、被験者を高重量・低回数・高セット数グループと、中重量・中回数・低セット数グループに分け、同等のトレーニングボリュームに設定し、8週間トレーニングを継続してもらったところ、筋力向上は高重量・低回数・高セット数グループが効果的でしたが、筋肥大は両グループとも同様だったとの結果が得られました(2)。

このように、プログラム変数が変われば、それに伴い筋トレの効果も違ってくるわけです。

しかし、重量・回数・セット数・トレーニングボリュームなどは至るところで会話に上がるものの、特に「タイムアンダーテンション」に関しては、様々なプログラム変数の中でもそこまで重要視されていない、という印象があります。

今回は、タイムアンダーテンションに焦点を当てた記事を書いていきたいと思います。

タイムアンダーテンション

用語解説

タイムアンダーテンション(Time Under Tension)は、頭文字を取って「TUT」と略される、様々なプログラム変数のうちの1つで「筋肉が張力を発揮している時間」を指します。

簡単に言うと「筋肉に負荷がかかっている時間」もっと簡単に言うと、そのエクササイズにおける「動作時間」のことです。

そのため、ベンチプレスなんかを例に挙げると、バーベルを下ろす局面(エキセントリック)で3秒、上げる局面(コンセントリック)で2秒、往復5秒、の動作を5回こなした場合は、25秒のタイムアンダーテンションとなります。

研究

タイムアンダーテンションに関する研究はほぼ行われていないのですが、比較的最近報告がありました(3)。

ベンチプレスにおいて、被験者を12回・往復3秒グループと、6回・往復6秒グループに分け、同重量・同セット数に設定し、10週間トレーニングを継続してもらったところ、筋力向上・筋肥大ともに、両グループ同様だったとの結果が得られています。

つまり、たとえ回数が違えど、タイムアンダーテンション(この研究では36秒)が等しければ、筋トレの効果は同じだったということです。

私見

先ほど、タイムアンダーテンションに関する研究を紹介しましたが、この1つをもって「動作時間が等しければ、筋トレの効果は必ず同じになる」と断言することはできません。

例えば、タイムアンダーテンションが等しかったとしても、

Aグループ:6回・エキセントリック2秒・コンセントリック4秒
Bグループ:6回・エキセントリック4秒・コンセントリック2秒

のように、各局面における動作時間が異なれば、違った結果になっていたかもしれません。

また、

Aグループ:6回・往復6秒・6セット(トータル216秒)
Bグループ:9回・往復6秒・4セット(トータル216秒)

のように、全セットを合わせたタイムアンダーテンションが等しかったとしても、1セットにおける動作時間が異なれば、これも違った結果になっていたかもしれません。

しかし、個人的な経験論ではありますが、こと筋肥大を目的とした筋トレに関しては、タイムアンダーテンションが等しければ、基本的に効果は同じになる、という印象を持っています。

最後に

今回は、タイムアンダーテンションに焦点を当てた記事を書いてきましたが、このトピックはまだまだわからないことばかりです。

しかし、筋トレの効果に大きな影響を及ぼす、重要なプログラム変数の1つには違いないでしょう。

新たなことが分かりましたら、当ホームページで追って紹介したいと思います。

 

<参考文献>

(1)Differential Effects of Heavy Versus Moderate Loads on Measures of Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men

(2)Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained men

(3)Equalization of Training Protocols by Time Under Tension Determines the Magnitude of Changes in Strength and Muscular Hypertrophy