札幌市のダイエット・ボディメイク専門パーソナルトレーニングジム「スタイルメソッド」の古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

近年、糖質制限や脂質制限など、巷では様々なダイエット法が出回っていますが、あまりにも出回りすぎて「どの方法が効果的なのかわからない。どれを信じれば良いの?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか?

ダイエットは、大袈裟ではなく人生を変えるきっかけになりますので、できる限り効果的な方法で望みたいものです。

今回は、そんな悩める方に向けて、糖質制限や脂質制限の良し悪しをはじめ、効果的なダイエットのやり方を徹底的に解説していきたいと思います。

ダイエットとは?

早速本題に入っていこうと思うのですがその前に、そもそも「ダイエットとは何なのか?」という根本的な部分から固めていきましょう。

これは、トレーニングに限らずどんなジャンルにも当てはまりますが、その言葉の定義が話し手と聞き手で異なると、伝えたいことも伝わらず、知りたいことも知ることができません。

例えば、不慣れで激しい運動には筋肉痛が伴いますが、この筋肉痛は「即発性筋肉痛」と「遅発性筋肉痛」に分けることができます。

即発性筋肉痛は、運動中、または運動直後に生じる筋肉の痛みで、遅発性筋肉痛は、運動後24〜48時間をめどに生じる筋肉の痛みです。

筋肉痛について説明をする時、私は即発性筋肉痛を、皆様は遅発性筋肉痛を思い浮かべているとどうでしょうか?

最初は良いかも知れませんが、後々話が噛み合わなくなる恐れがあります。

そうなっては、それまでにかけた時間がもったいありません。

少し話が逸れましたが、このような理由から、双方、言葉の定義を明確にしておくことは非常に重要です。

では、ここではダイエットをどのように定義しているのかというと、それが以下になります。

「余計な体脂肪を落とし、かっこいい&美しい身体になる一連の活動」

ダイエットの定義は人それぞれで異なるでしょうが、おそらく大多数の方は、これと近いニュアンスをお持ちのはずです。

ダイエットの定義が確認できたところで、本題に入っていきましょう。

ダイエットを成功させるための条件 アンダーカロリーについて

結論からお話しますが、ダイエットを成功させるためには、ある条件をクリアする必要があります。

それが「アンダーカロリー」です。

アンダーカロリーとは「消費カロリーと摂取カロリーを比べた時、摂取カロリーが小さい状況」を指します。

「今日は2500kcal消費して、2000kcal摂取した」このような状況がアンダーカロリーです。

アンダーカロリーによるダイエット効果については、買い物・給料・貯金をイメージするとわかりやすいかもしれません。

「洋服や家電を25万円分購入した。給料は20万円だった」とすると、不足している5万円は、貯金を崩し支払うことなります。

私たちの身体も同じです。

消費カロリーよりも摂取カロリーが小さいと、不足したカロリー分は、蓄えられている体脂肪(厳密には体組織)を分解して、そこから補われるのです。

そして実際「アンダーカロリーで体脂肪が落ちた」という報告が存在します(1)。

ちなみに、消費カロリーと摂取カロリーを比べた時、摂取カロリーが大きい逆の状況は「オーバーカロリー」と呼ばれていますが、このオーバーカロリーで体脂肪が落ちることはまずありません。

脂肪吸引や脂肪切除など、外科的な処置ではオーバーカロリーでも体脂肪を減らすことは可能ですが、それらはかなり特殊な方法ですので、基本的には「体脂肪はアンダーカロリーでしか落ちない」と覚えておくようにしてください。

アンダーカロリー量の目安

ダイエットを成功させるためには、アンダーカロリーにする必要があるわけですが、アンダーカロリー量の目安としては「体重×5〜10kcal」をオススメしています。

下限が「体重×5kcal〜」上限が「〜体重×10kcal」です。

つまり、体重が70kgだった場合は、350〜700kcalがアンダーカロリー量の目安となり、消費カロリーが2500kcalだとすると、1800〜2150kcalを摂取することになります。

そして、このアンダーカロリー量では理論的に、1週間あたり、体重のだいたい「0.5〜1%」の体脂肪を落とすことが可能です。

体重が70kgだった場合は、1週間あたり、だいたい0.35〜0.7kgの体脂肪が落ちる計算になります。

では、なぜこのような目安を設けているのかというと、その理由については今ここで話すよりも、後々話した方が説明がスムーズになりますので、とりあえず現段階では「体重×5〜10kcalがアンダーカロリー量の目安なんだ」と、頭の隅に置いていただければOKです。

アンダーカロリーを作り出す2つのアプローチ

先述した通り、アンダーカロリーは、消費カロリーと摂取カロリーを比べた時、摂取カロリーが小さい状況を指しますので、消費カロリーを増やすか、摂取カロリーを減らすかすれば、アンダーカロリーを作り出すことができます。

消費カロリーを増やす

1つ目の「消費カロリーを増やす」という方法ですが、これは「身体を動かしましょう!運動しましょう!」というものです。

代表的な運動としては、ウォーキング・ランニング・筋トレなどが挙げられます。

しかし、この消費カロリーを増やす、厳密には「消費カロリーだけを増やす」という方法はあまりオススメできません。

なぜなら、運動は思っている以上に消費カロリーが少なく、アンダーカロリー量の下限(体重×5kcal〜)をクリアすることが困難なためです。

一般的なウォーキング速度は、4〜5km/hと言われており、1時間あたりの消費カロリーは、体重に「3.5」を掛けることで、おおよそを求めることができます(2)。

体重が70kgだった場合は、245kcalが1時間あたりの消費カロリーです。

245kcalを多いと思うか少ないと思うかは人それぞれですが、事実として、アンダーカロリー量の下限(350kcal)はクリアできていません。

もっとも、速度を上げたり時間を長くすれば、その分消費カロリーも増えるため、アンダーカロリー量の下限をクリアすることは可能ですが、毎日この運動レベルを継続するのはなかなか難しいでしょう。

では、ランニングはどうでしょうか?

ランニングは、ウォーキングよりも速度が大きいため、それに伴って消費カロリーも増えます。

仮に、8km/hで1時間ランニングをしたとすると、体重に「8.3」を掛けることでおおよその消費カロリーを求めることができるため、体重が70kgだった場合は、消費カロリーは581kcalになります(2)。

これなら、アンダーカロリー量の下限を十分にクリアしていますね。

しかし、ランニングには1つ見過ごすことのできないデメリットがあります。

それが「傷害」です。

ランニングでは、体重の倍以上もの着地衝撃が発生することが確認されており、脛骨過労性骨膜炎(シンスプリント)・疲労骨折・足底筋膜炎・膝蓋軟骨軟化症・アキレス腱炎などの傷害を負うリスクが高いとの報告が存在します(3)。

つまり、ランニングは足周りを怪我しやすいのです。

「ランニングをすると絶対に怪我する」とは言いませんが、怪我の程度によっては、日常生活にも重大な悪影響が及ぶと考えられますので、特に体重が重い方は、できる限り控えるに越したことはないでしょう。

では、筋トレはどうでしょうか?

筋トレは、一般的にダンベルやバーベルなどの重りを扱うため「ランニング以上のカロリーを消費する」という印象を持たれている方も多いと思いますが、意外なことに、実はそこまでカロリーを消費しません。

平均身長183㎝、体重91kg、体脂肪率12%というマッチョマンを対象に、8種類のトレーニングマシンを用い、全身を24分間(種目間休憩時間は2分)に渡って鍛えた際の消費カロリーは、おおよそ135.20±16.6kcalです(4)。

つまり、マッチョマンが1時間筋トレをしても、300kcal消費できるかどうかのレベルなのです。

もちろん、トレーニングマシンではなくフリーウエイトを用いたり、サーキットのように種目間休憩時間を縮めたりor無くしたりすれば、350→400→450kcal〜と消費カロリーは増えていたでしょう。

しかし、繰り返しますが、これは筋骨隆々のマッチョマンにおいての話です。

筋トレ未経験者や初心者の方では、彼らほどの重りを扱うことはできないため、もちろんトレーニングメニューで変わりはするものの、1時間あたり250kcalも消費すれば良い方ではないかと思います。

もっとも、このような話をすると「基礎代謝や安静時代謝はどうなの?筋トレをして筋肉が増えれば、その分基礎代謝が増加して、消費カロリーも増加して、アンダーカロリー量の下限くらいクリアできるでしょ?」と思われる方もいるかもしれません。

確かに、筋肉は基礎代謝を構成する要素ですので、筋トレをして筋肉を増やせば、それに伴って基礎代謝も増加し、さらには消費カロリーの増加にも繋がります。

しかし、筋トレによる基礎代謝の増加量は、思っている以上に僅かです。

過去1年間筋トレをしていない18〜35歳の男女を対象に、スクワットやベンチプレスなどのフリーウエイトエクササイズを週3日、計96回(9カ月間)実施したところ、個人間で広いばらつきはあるものの、安静時代謝は以下のように変化しました(5)。

筋トレ前:1653±302kcal/日
筋トレ後:1726±291kcal/日
変化量:+73kcal/日

1月あたりに換算すると、安静時代謝の増加量は8kcalになります。

また、違う研究でも、18〜45歳の女性を対象に、マシントレーニングとフリーウエイトエクササイズを週4日、20週間実施したところ、こちらも個人間で差はあるものの、安静時代謝は以下のように変化しました(6)。

筋トレ前:1451±62kcal/日
筋トレ後:1495±63kcal/日
変化量:+44kcal/日

1月あたりに換算すると、安静時代謝の増加量は同じく8kcalになります。

8kcalを多いと思うか少ないと思うかは人それぞれですが、筋トレによる基礎代謝量の増加が、アンダーカロリー量の下限をクリアできるまでには「年単位の長い期間が必要になる」と考えておいた方が良さそうです。

このような理由から、消費カロリーだけを増やすという方法をオススメしていません。

摂取カロリーを減らす

2つ目の「摂取カロリーを減らす」という方法ですが、これは「食事を制限しましょう!改善しましょう!」というものになります。

この方法は、案外簡単に、アンダーカロリー量の下限をクリアすることが可能です。

純粋に食べる量を減らしたり、揚げ物や脂っこい料理を控えたり、白米をこんにゃく米にしたり、咀嚼回数を増やしたり…。

その気になれば、アンダーカロリー量の上限(〜体重×10kcal)を狙うことも難しくありませんし、ほんのちょっと工夫をすれば、空腹感もかなり抑えることができます。

しかし、この摂取カロリーを減らす、厳密には「摂取カロリーだけを減らす」という方法もあまりオススメできません。

ここで思い出してほしいのが、ダイエットの定義です。

ダイエットとは「余計な体脂肪を落とす」だけではありませんでしたよね?

余計な体脂肪を落とし、かつ「かっこいい&美しい身体になる」がダイエットでした。

何を持ってかっこいい身体・美しい身体とするかは人それそれですが、一般的にかっこいい・美しいと呼ばれる身体のボディライン=土台は、筋肉により形成されます。

バランスよく適度に筋肉をつけることで、盛り上がった胸板や太い腕、プリッと持ち上がったヒップやしなやかな脚など、メリハリのあるボディラインが形成されるのです。

そしてこの筋肉は、筋トレなど「筋肉に刺激を入れる」ことで成長していきます(7)。

つまり、摂取カロリーだけを減らすという方法をオススメしていないのは、余計な体脂肪を落とすことはできても、筋肉に刺激が入らないため、筋肉をつけることができず、メリハリのあるボディラインが形成されず、かっこいい身体&美しい身体になることが難しいからです。

混合アプローチでアンダーカロリーを作り出そう

アンダーカロリーを作り出す方法としては、消費カロリーを増やすか、摂取カロリーを減らすかの2つがあるわけですが、どちらの方法にも、見過ごすことのできない穴があることがわかりました。

では、結局のところ、どのような方法でアンダーカロリーを作り出せば良いのかというと、どちらか1つの方法に偏るのではなく、2つを混ぜた混合アプローチをオススメしています。

つまり「消費カロリーを増やして、摂取カロリーを減らす」具体的には「筋トレをしつつ、食事を制限・改善しよう!」という方法をオススメしています。

こうすることで、それぞれの方法が持つ穴を、互いに埋めることができるためです。

筋トレをすることで筋肉をつけ、食事を制限・改善することで、筋トレだけではクリすることが難しいアンダーカロリー量の下限を越えていきます。

もっとも、このような話をすると、特に女性の方から「すでに筋肉は十分すぎるほどついているから、筋トレはしなくていいや。食事の制限や改善だけしよっと」というセリフを聞く時があります。

「今以上に筋肉をつけると、二の腕や太腿がさらに太くなる。それは嫌だ」というのが理由です。

しかし、これは私の経験論になりますが、99%の女性においては、筋トレをしたとしても「二の腕や太腿がさらに太くなる」なんてことはありません。

何を言いたいのかというと、ほぼ全ての女性において、今の「太さ」を作り出している主な要因は、筋肉ではなく体脂肪だということです。

筋トレをして筋肉がつけば、確かに筋肉自体は太くなりますが、一方で体脂肪が落ちれば、二の腕周りや太腿周りは、まず間違いなく細くなります。

また、成人の筋肉(骨格筋量)は、20歳から50歳までに5〜10%、50歳から80歳までに30〜40%低下するとの報告もありますので(8)、それを防ぐためにも、積極的に筋トレに励んだ方が良いのではないかと思います。

ちなみに、混合アプローチとして「筋トレ」と「食事の制限・改善」の組み合わせを先ほどオススメしましたが、食事の制限・改善が辛く、一方で時間を取れるのであれば、食事を制限・改善する代わりに、ウォーキングやランニングなどを実施し、運動だけでアンダーカロリーを作り出すのももちろんOKです。

ただ、その際には怪我をしないよう、細心の注意を払いましょう。

アンダーカロリー量に目安を設けている理由

では、ここら辺で話を一旦戻し、アンダーカロリー量に目安(体重×5〜10kcal)を設けている理由について説明していきます。

下限

まずは、下限(体重×5kcal〜)についてですが、これは「確実にアンダーカロリーを作り出すため」になります。

勘の良い方なら、もうすでにお気づきだと思いますが、日々の消費カロリーを正確に把握することは、現実問題不可能です。

例えば、4〜5km/hのウォーキングでは「体重×3.5」で1時間あたりの消費カロリーを求めることが可能ですが、これはあくまでも「おおよそ」にすぎません。

いくら、4〜5km/hのウォーキングとはいえど、砂浜を歩くのか、舗装されたアスファルトを歩くのか、無風の中歩くのか、追い風の中歩くのかでは強度が異なるため、必然的に消費カロリーも変わってきます。

ちなみに、おおよそにはなりますが、1日あたりの消費カロリーは「TDEEの計算」で求めることが可能です。

また、消費カロリーと同様に、日々の摂取カロリーも正確に把握することはできません。

コンビニやスーパーなどで販売されている食品には、当たり前のように栄養成分が表示されていますが、表示値には±20%の許容差が認められています(9)。

つまり、計算では500kcal消費していたとしても、実際は400kcalしか消費していなかったり、計算では500kcalしか摂取していなかったとしても、実際は600kcal摂取している可能性があるのです。

そのため、アンダーカロリー量を「体重×1〜2kcal」のように小さく、具体的には100kcal前後に定めてしまうと、計算ではアンダーカロリーだとしても、実際はオーバーカロリーになっていることも考えられます。

体脂肪が減らないどころか、逆に増えてしまうかもしれません。

これはちょっと悲しいですよね。

一方、アンダーカロリー量の下限を「体重×5kcal」にすれば、消費カロリーと摂取カロリーに多少ズレが生じたとしても、オーバーカロリーになることはほぼありません。

上限

次は、上限(〜体重×10kcal)についてですが、これは「体脂肪の減少と筋肉の増加を両立させるため」になります。

サッカー・バーレーボール・クロスカントリースキーなどのエリートアスリートを対象に、アンダーカロリー量の違いが、体組成にどのような影響を及ぼすかが研究されました(10)。

概要は以下の通りです。

・彼らを、1日あたり469±61kcalアンダーカロリーにするグループと、791±113kcalアンダーカロリーにするグループに分ける。
・つまり、カロリー制限がゆるやかなグループと、きついグループに分ける。
・スクワットやベンチプレスなどのフリーウエイトエクササイズを週4日実施。
・どちらのグループも、体重が4.2kg落ちたところで研究終了。
・研究期間は、ゆるやかなグループが8.5±2.2週、きついグループが5.3±0.9週。

結果を見ましょう。

・除脂肪体重(≒筋肉量)は、ゆるやかなグループで+1.0±0.2kg、きついグループで–0.3±0.4kg。
・体脂肪量は、ゆるやかなグループで–4.9±0.7kg、きついグループで–3.2±0.5kg。
・ゆるやかなグループは、体脂肪の減少と筋肉の増加が両立できたが、きついグループは、体脂肪の減少と筋肉の増加が両立できなかった。

つまり、この研究からは何が言えるのかというと、アンダーカロリー量を過度に定めてしまうと「筋トレの効果が得られない可能性がある」ということです。

「アンダーカロリー量を大きくすればするほど、ダイエットに効果的」というわけではないのです。

では、どれくらいのアンダーカロリー量であれば、体脂肪の減少と筋肉の増加を両立させることができるのかというと、これに関してははっきりとわかりません。

例えば、アマチュアボディビルダーでは、比較的ゆるやかなカロリー制限にも関わらず、体脂肪の減少と筋肉の増加の両立は確認されていません(11)。

おそらくですが、アンダーカロリー量だけでなく、筋トレ歴・体脂肪率・筋肉量など、その他の要因も関係しているのでしょう。

しかし、これらと似たような研究を調べ、私の経験も加味すると、大多数の方においては、アンダーカロリー量が「体重×10kcal以下」であれば、体脂肪の減少と筋肉の増加を両立させることができるのではないかという印象を持っています。

糖質制限VS脂質制限

ダイエットを成功させるためには、アンダーカロリーにする必要があり、アンダーカロリーを作り出すアプローチの1つに、摂取カロリーを減らすという方法があるわけですが、ダイエットについて調べ物をすると、必ずと言っていいほど「糖質制限」と「脂質制限」2つの単語を目にします。

文字通り、糖質制限は糖質を、脂質制限は脂質を制限する食事法なのですが「ダイエットには糖質制限が一番効果的」というように、糖質制限を推奨する記事もあれば「糖質制限はダメ。脂質制限の方が効果的」というように、脂質制限を推奨する記事もあります。

糖質制限も脂質制限も、摂取カロリーを減らす具体策の1つではあるものの、このように相反する主張を見てしまうと、どちらが正しいのか悩んでしまいますよね。

では、結局のところ、糖質制限と脂質制限、どちらの食事法が効果的なのかと言いますと、これに関しては国際スポーツ栄養学会、通称「ISSN」が見解を公表しています(12)。

それによると、糖質制限でも脂質制限でも「体組成を改善させる効果は同等」とのことです。

つまり、糖質制限と脂質制限、どちらの食事法も「同じくらい体脂肪を落とす効果がある」ということになります。

肌荒れや便通などその他の効果について

糖質制限と脂質制限、体脂肪を落とす効果に関しては、どちらも同じということが確認できましたが、その他の部分(肌荒れや便通など)に関してはどのような影響があるのかというと、これについてははっきりとわかりません。

私は、2020年今現在で、約10年間パーソナルトレーナーとして活動してきましたが、たくさんのお客様を指導させていただきました。

お客様の中には、パーソナルトレーニング受講以前、糖質制限や脂質制限による、ダイエット経験のある方がちらほらいらっしゃったのですが、その時の話を聞いても、特にこれといった共通点が見当たらないのです。

「2年前に糖質制限をしたんだけど、肌荒れがヤバかった」というお客様もいれば「3年前にした糖質制限では、肌荒れはなかったですね。ただ、便秘がひどくなりました」というお客様もいらっしゃいます。

脂質制限も同様です。

では、なぜこのような違いが出てくるのかというと、これはおそらくですが、アンダーカロリー量や制限の度合い、それ以外の栄養素(タンパク質・食物繊維・ビタミン・ミネラル…)の摂取状況・体質などが関係していると思われます。

そのため「糖質制限は肌荒れを起こす」や「脂質制限は便通を悪くする」のように、一概には言えないのが現状です。

どちらのダイエット法を選択するべきか?

先述した通り、体脂肪を落とす効果に関しては、糖質制限と脂質制限、どちらも同じという結論が出ていますので、シンプルに体脂肪を落とすだけが目的なのであれば、どちらでも好きな方を選んでいただいて構いません。

あとは体調と相談し、状況に応じて臨機応変に対応するのが望ましいでしょう。

一方、ダイエット目的ではどうなのかと言いますと、どちらかの栄養素を極端に減らすのではなく「糖質も脂質も両方制限する」という、まさに正攻法をオススメしています。

では、なぜこのような方法をオススメをしているのかというと「筋トレの質」と「ホルモン濃度」が理由です。

まずは、糖質制限についてですが、実は糖質を制限した食事をすることで「スクワットの回数が減った」という報告が存在します(13)。

今までできていた回数が、エネルギー不足でできなくなってしまったわけです。

回数が減るということは、その分筋肉への刺激も減るため、筋トレの質が下がり、筋肉の増加効果が減少してしまいます。

次は、脂質制限についてですが、糖質同様、脂質の減らしすぎもあまり良くありません。

脂質、厳密にはコレステロールは、筋肉の増加に関係しているホルモン「テストステロン」を作る材料であり、脂質の摂取量が、テストステロン濃度に影響を及ぼすことが確認されています(14)。

このような理由から、やはりダイエットにおいては、糖質も脂質も両方制限する、言い方を変えるのであれば「糖質も脂質も両方摂取する」という食事法を採用するに越したことはないでしょう。

PFCバランスと各栄養素の摂取量

糖質制限と脂質制限の効果が確認できたところで、今度は「PFCバランス」と各栄養素の摂取量に移りますが、PFCバランスとは、Protin・Fat・Carbohydrateの頭文字を取ったもので、タンパク質・脂質・糖質(厳密には炭水化物)の摂取比率を表す言葉です。

「20:30:50」や「20:35:45」という具合に、数字で表されます。

では、ダイエットにおいて、理想となるPFCバランスはどのようなものなのかというと「30〜40:20:40〜50」をオススメしています。

※この項では説明をスムーズにするため、以下のAさんをモデルに話を進めていきます。

Aさん
体重:70kg
消費カロリー:2500kcal
摂取カロリー:2000kcal
アンダーカロリー量:500kcal

タンパク質

まずはタンパク質ですが、タンパク質はご存知の通り筋肉を作る材料になるため、十分な量を摂取する必要があります。

筋トレをする際は、一般的に「体重×2g」のタンパク質を摂取することが推奨されていますが、ダイエットでは、少し多めの「体重×2〜3g」を目指しましょう。

タンパク質を多めに摂取することで、筋肉の増加を狙い、一方で筋肉の落ちを確実に防ぐわけです。

また、多量のタンパク質の摂取は、体脂肪の減少を促進する可能性が示唆されており(15)、満腹感にも効果的と考えられています(11)。

<Aさんのタンパク質概要>
摂取量:70kg×2.5g=175g
カロリー:175g×4kcal=700kcal
摂取カロリー%:35%

※タンパク質1gあたり4kcal

脂質

先述した通り、脂質はホルモンを作る材料ですので、摂取カロリーの20%は脂質から摂取することが推奨されています(16)。

<Aさんの脂質概要>
摂取カロリー%:20%
カロリー:2000kcal×20%=400kcal
摂取量:400kcal÷9kcal=44g

※脂質1gあたり9kcal

糖質

最後は糖質ですが、糖質はタンパク質と脂質を差し引いた値になります。

<Aさんの糖質概要>
摂取カロリー%:100%−(35%+20%)=45%
カロリー:2000kcal×45%=900kcal
摂取量:900kcal÷4kcal=225g

※糖質1gあたり4kcal

注意事項

ここで記載したPFCバランスと各栄養素の摂取量は、あくまでも目安にすぎません。

「これくらいが理想なんだ。ふーん」くらいに、参考程度に留めるようにしてください。

タンパク質に関しては「体重×2〜3gを目指しましょう」と書きましたが、これよりも低い数値ではダメなのかというと、そんなことはありません。

現に「アンダーカロリー量に目安を設けている理由」の項では、体脂肪の減少と筋肉の増加が両立できた研究を紹介しましたが、彼らが摂取したタンパク質量は「体重×1.6g」で、PFCバランスは「25:21:54」です。

多少ズレたとしても、大きな問題はありませんのでご安心ください。

具体的な食事プラン〜献立について〜

PFCバランスと各栄養素の摂取量は上記の通りですが、ここまでの話だけだと「で、結局どんな食事をすれば良いの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、具体的な食事プランを紹介するのは、現実的ではありません。

と言うのは、食事プランは体重・消費カロリー・摂取カロリー・アンダーカロリー量によって個々に決定されるため、それらの数値がわからなければ、申し訳ないことに紹介しようがないのです。

例えば、体重50kg・消費カロリー1900kcal・摂取カロリー1400kcal・アンダーカロリー量500kcalの方と、体重100kg・消費カロリー3000kcal・摂取カロリー2500kcal・アンダーカロリー量500kcalの方とでは、食事プランは大きく変わります。

摂取カロリーを見ると、その差は1100kcalです。

このような理由から、皆様に最適な食事プランを紹介するのは難しいのです。

しかし、食事をするうえで気をつけるべき点を、いくつかアドバイスすることはできます。

ここでは、その中でも特に重要だと思われる3つをピックアップし、簡潔ではありますが紹介していきます。

①ヘルシーでタンパク質が豊富な食材を積極的に

体重×2〜3gのタンパク質を摂取し、かつ脂質を摂取カロリーの20%にするためにも、鶏のむね(皮なし)・もも(皮なし)・ささみ・レバー・砂肝、牛や豚の赤肉全般、アジ・カツオ・カレイ・マグロ赤身・イカ・タコ・カニ・エビ・アサリ・ホタテ…などの食材を積極的に摂取しましょう。

これらの食材は、タンパク質を豊富に含んでいる一方で、脂質がかなり抑えられています。

詳しくは、文部科学省の「日本食品標準成分表」をご覧ください。

②プロテインの活用を

プロテインは、タンパク質を主成分としたサプリメントのことで、粉末を水に溶かすだけで、1杯あたり20g〜ものタンパク質を摂取することが可能です。

お仕事や子育てをされている方は、ヘルシーでタンパク質が豊富な食材を選び、毎回調理するのは大変かと思いますので、プロテインも活用していきましょう。

今現在は、チョコやバナナなどオーソドックスなものをはじめ、レモン・メロン・イチゴなど多種多様な味が展開されていますので、美味しく、そして飽きなく飲めると思います。

エクスプロージョン
ビーレジェンド

上記2つのメーカーが、コストパフォーマンスに優れているという印象です。

③野菜類・きのこ類・藻類はふんだんに

ダイエットを成功させるためには、基本的に食事を制限する必要があるため、摂取する食材が偏ると、食物繊維・ビタミン・ミネラルなど、PFC以外の栄養素が不足する恐れがあります。

このような状況は、ダイエット云々ではなく「健康」という観点から好ましくありません。

これはあくまでも一例ですが、野菜を摂取しなかったグループは、ふんだんに摂取したグループと比べて「目覚め・寝つき・お腹の張り・吹き出物など、様々な項目において悪影響が出た」との報告も存在します(17)。

野菜類・きのこ類・藻類は、もちろんものにもよりますが、全般的にヘルシーな反面、食物繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素を豊富に含んでいます。

食事をされる際は、サラダやスープという形で、これらの食材をふんだんに使うようにしましょう。

まとめ

・ダイエットとは、余計な体脂肪を落とし、かっこいい&美しい身体になる一連の活動のこと。
・ダイエットを成功させるためには、アンダーカロリーにする必要がある。
・アンダーカロリーとは、消費カロリーと摂取カロリーを比べた時、摂取カロリーが小さい状況を指す。
・特殊な方法を除き、基本的に体脂肪はアンダーカロリーでしか落ちない。
・アンダーカロリー量の目安は、体重×5〜10kcal。
・このアンダーカロリー量では理論的に、1週間あたり、体重のだいたい0.5〜1%の体脂肪を落とすことが可能。
・消費カロリーを増やすか、摂取カロリーを減らすかすれば、アンダーカロリーを作り出すことができるが、どちらの方法にも見過ごすことのできない穴があるため、2つを混ぜた混合アプローチがオススメ。
・筋トレをしつつ、食事を制限・改善するべき。
・糖質制限と脂質制限、どちらの食事法も、同じくらい体脂肪を落とす効果がある。
・ダイエットにおいては、どちらか一方の栄養素を制限するのではなく、両方制限する正攻法がオススメ。
・PFCバランスは、30〜40:20:40〜50が理想。
・ただ、多少ズレたとしても大きな問題はない。

最後に

今回は、ダイエットで悩める方に向けて、糖質制限や脂質制限の良し悪しをはじめ、効果的なダイエットのやり方を徹底的に解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

もっとも、ここでは触れなかっただけで、食事のタイミング・各栄養素の質・水の摂取量など、ダイエットに重要だと思われる項目は他にもたくさんあります。

トレーニングメニューなんかもそうです。

しかし、繰り返しになりますが、ダイエットにおいて一番重要なのは「アンダーカロリーにすること」です。

いくら、食事のタイミングを気をつけたとしても、各栄養素の質にこだわったとしても、十分な水を摂取したとしても、アンダーカロリーでなければダイエットは成功しません。

アンダーカロリーを念頭に、効果的なやり方でダイエットをしましょう。

 

<参考文献>

(1)VLCD Versus LCD in Long-Term Treatment of Obesity

(2)改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』

(3)Impact and Overuse Injuries in Runners

(4)Energy Cost of the ACSM Single-Set Resistance Training Protocol

(5)Effect of Resistance Training on Resting Metabolic Rate and Its Estimation by a Dual-Energy X-ray Absorptiometry Metabolic Map

(6)The Effects of a 20-week Exercise Training Program on Resting Metabolic Rate in Previously Sedentary, Moderately Obese Women

(7)Muscular and Systemic Correlates of Resistance Training-Induced Muscle Hypertrophy

(8)What Is the Cause of the Ageing Atrophy? Total Number, Size and Proportion of Different Fiber Types Studied in Whole Vastus Lateralis Muscle From 15-To 83-year-old Men

(9)栄養成分表示 ハンドブック – 東京都福祉保健局

(10)Effect of Two Different Weight-Loss Rates on Body Composition and Strength and Power-Related Performance in Elite Athletes

(11)A Nutrition and Conditioning Intervention for Natural Bodybuilding Contest Preparation: Case Study

(12)International society of sports nutrition position stand: diets and body composition

(13)Effects of carbohydrate restriction on strength performance

(14)Relationship Between Diet and Serum Anabolic Hormone Responses to Heavy-Resistance Exercise in Men

(15)International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise

(16)Evidence-based recommendations for natural bodybuilding contest preparation: nutrition and supplementation

(17)野菜摂取量の健康状態に及ぼす影響