札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

インターネットで、筋トレのメニューについて色々調べてみると「スクワットはヒップアップに効果的!まずは軽めのダンベルを持って10回3セットを目標に!」「たくましい脚が欲しいならスクワットがオススメ!無理のない範囲のバーベルを担いで10回3セットに挑戦してみよう!」こんな感じで、セットを組むことが基本的に推奨されています。

筋トレ系のWEBサイトでは当たり前のように書かれていますが、そもそもなぜセットを組む必要があるのでしょうか?

10回3セットではなく、回数が同じ30回1セットではダメなのでしょうか?

今回は、筋トレでセットを組む理由について記事を書いていきたいと思いますが、最初に結論をザックリお伝えしますと、その方がより大きな刺激を筋肉に与えることができ、より効率的に筋肥大を起こしたり筋力を増加させることができるからです。

筋トレでセットを組む理由について

筋肥大に関して

当ブログでも何度か紹介したことがあるのですが、より効率的に筋肥大(筋肉を大きくする)を起こすためには、トレーニングボリュームを増やすことが重要だと考えられています(1)。

トレーニングボリュームとは「トータル何キロ持ち上げたか?」だと思っていただければ大きな問題はありません。

50kgで12回持ち上げた場合は、

50kg×12回

となり、600kgがトレーニングボリュームです。

ここで、10回3セット(以下、複数セット)と、30回1セット(以下、1セット)を比較してみましょう。

仮に、各セットを限界まで追い込むとすると、複数セットではセット間に休憩時間を挟むことになるため、1セットに比べて重い重量を扱うことができます。

見方を変えると、1セットでは休憩時間を挟むことができないため、複数セットに比べて扱う重量はどうしても軽くなってしまいます。

つまり、

複数セット
1セット目:80kg10回
2セット目:75kg10回
3セット目:70kg10回
トレーニングボリューム:2,250kg

1セット
60kg30回
トレーニングボリューム:1,800kg

こんな感じになるわけです(回数はどちらもトータルで30回)。

先ほどお話しした通り、より効率的に筋肥大を起こすためには、トレーニングボリュームを増やすことが重要だと考えられています。

そのため、筋トレではセットを組んだ方が(休憩時間を設けた方が)、筋肉を大きくしやすいと判断できるわけです。

筋力に関して

こちらも、当ブログで何度か紹介したことがあるのですが、筋力の増加(発揮できる力の大きさ)は、重い重量を扱うことで促進されることが確認されています(2)。

軽い重量でも筋力は増加しますが、比較するとその効果は薄いと言わざるを得ません。

ということを踏まえたうえで、各セットを限界まで追い込むとすると、複数セットは、1セットに比べてより効率的に筋力を増加させることができると判断可能です。

筋力の増加は、日常生活の質はもちろん、スポーツパフォーマンスの向上なんかでもかなり重要な要素ですし、トレーニングボリュームを増やすことにも繋がります。

最後に 各セットを限界まで追い込まない場合は?

「より効率的に筋肥大を起こしたり筋力を増加させることができる」との理由から、筋トレではセットを組む=休憩時間を設けることが基本的に推奨されています。

しかし、ここまでの話を聞くと「それは各セットを限界まで追い込んだ場合の話でしょ?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。

「例えば、トレーニング機材のない自宅なんかで、自分の体重のみの低強度でスクワットをする場合、重量を増やすことはできない。10回3セットでも30回1セットでも、トレーニングボリュームは同等になる。とすると、1セットの方が複数セットに比べてパンプアップするだろうから、そっちの方が効果が高いんじゃないかな?もし、効果は同じで変わらなかったとしても、時短になることは確実。時間を有効に使える。だったら、状況によっては、複数セットじゃなくて1セットの方が良いんじゃない?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。

確かに、その通りかと思います。

繰り返しになりますが、ここまでの話は「各セットを限界まで追い込む」という前提があってのことで、上記のような状況では、筋トレでセットを組む必要はないでしょう。

ただ、より効率的に筋肥大を起こしたり筋力を増加させたいのであれば、重い重量を扱うに越したことはありません。

そのため、筋トレをするのであれば「セットを組む」ことを基本とし、状況に応じて臨機応変に対応されることをオススメします。

 

<参考文献>

(1)Volume Load Rather Than Resting Interval Influences Muscle Hypertrophy During High-Intensity Resistance Training

(2)The effect of training volume and intensity on improvements in muscular strength and size in resistance-trained men