札幌市のダイエット・ボディメイク専門パーソナルトレーニングジム「スタイルメソッド」の古本 直也(フルモト ナオヤ)です。
筋トレにおいて「筋肉を増やしたいなら、セット毎に限界まで追い込む必要がある。少しの余力も残してはいけない」というセリフを聞くことがあります。
限界まで追い込むことによって、筋肉にできるだけ大きな刺激を入れてあげるわけです。
しかし、ここで1つ疑問が生じます。
筋肉は、限界まで追い込まないと増えないのでしょうか?
結論
まず、結論からお伝えしますが、限界まで追い込まなくても筋肉は増えます。
例えば(1)の研究では、過去半年に渡って筋トレ経験のない男性を対象に、12週間、あと2回できるくらいの余力を残して上腕二頭筋を鍛えてもらった結果、筋断面積は有意に増加しました。
これと似たような?研究は他にもいくつか行われているのですが、それらを見る限りでは、筋肉を増やしたいからと言って、セット毎に限界まで追い込む必要はなさそうです。
限界まで追い込むVS限界まで追い込まない
限界まで追い込まなくても筋肉は増えるわけですが、限界まで追い込むパターンと、限界まで追い込まないパターンでは、果たしてどちらの方が筋肉が増えるのでしょうか?
これに関しては、どちらのパターンでも、トレーニングボリュームの大きい方が効果的、との考察がなされています。
トレーニングボリュームと筋肉の増え具合
トレーニングボリュームとは、一般的に「重さ×回数×セット数」で表される総負荷の指標です。
仮に、100kgの重さで10回を3セット実施した場合は、100×10×3で「3000」がトレーニングボリュームになります。
そして、このトレーニングボリュームは、筋肉の増え具合に関係していることが確認されています。
60〜75%の重さで、10回・4セット実施するグループと、5回・8セット実施するグループに分け、一定期間筋トレを行ってもらい、筋肉がどのように変化するのかを調べた研究があります(2)。
ちなみに、どちらのグループもトレーニングボリュームは同等です。
結果、両グループで筋肉は増えたものの、グループ間で差は確認されませんでした。
また、中重量で10回・3セット・1分半の休憩を取るグループと、高重量で3回・7セット・3分の休憩を取るグループに分け、一定期間筋トレを行ってもらい、筋肉がどのように変化するのかを調べた研究もあります(3)。
ちなみに、こちらの研究でもトレーニングボリュームはグループ間で同等です。
その結果、両グループで筋肉は増えたものの、グループ間で差は確認されませんでした。
つまり、何を言いたいのかというと、重さや回数やセット数など様々な変数が異なろうとも、トレーニングボリュームが同等であれば、筋肉の増え具合も同等であるということです。
このような理由から、限界まで追い込むパターンでも、限界まで追い込まないパターンでも、トレーニングボリュームの大きい方が筋肉も増える、と考えられています。
各パターンにおけるトレーニングボリューム
では、限界まで追い込むパターンと、限界まで追い込まないパターンでは、果たしてどちらの方がトレーニングボリュームを大きくすることができるのかというと、やり方によっても変わってはくるでしょうか、基本的には、限界まで追い込まないパターンの方が大きくなる傾向があります。
限界まで追い込むと、次のセットで扱える重さや繰り返せる回数がストンと下がってしまうからです。
また、限界まで追い込むと、疲労からフォームが乱れてしまい、長期的な怪我にも繋がりかねません。
そのため、筋肉を増やしたいなら、個人的には、無理に限界まで追い込む必要はないと考えています。
むしろ、少し余力を残してセットを終えた方が、筋肉を増やす効果は大きいのではないか?という印象です。
<参考文献>
(1)Is repetition failure critical for the development of muscle hypertrophy and strength?
(2)Greater Gains in Strength and Power With Intraset Rest Intervals in Hypertrophic Training
(3)Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained men