札幌市のダイエット・ボディメイク専門パーソナルトレーニングジム「スタイルメソッド」の古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

人によって変わってはくるのですが、基本的に、かっこいい&美しいスタイルになりたいのであれば、今現在のカラダから体脂肪量を減らし、筋肉量を増やす必要があります。

体脂肪量を減らすことで輪郭(ボディライン)をキリッとさせ、筋肉量を増やすことでパーツごとにメリハリをつけるわけです。

しかし、ここで1つ疑問が生まれます。

体脂肪量減少と筋肉量増加、どちらを先に取り組むべきなのでしょうか?

一般的な推奨順序

一般的には「体脂肪量減少から始めて、筋肉量増加に取り組んだ方が良いよ」と言われている印象があります。

仮に、身長160㎝・体重65kgの方がいた場合、最初のうちは食事制限等で体重を落とし、平均的な体重(55kg前後)になってから、筋トレに取り組むという流れです。

では、なぜこのような順序が推奨されているのかというと、それは「テストステロン」に主な理由があります。

皆様も、1度は聞いたことがあると思うですが、テストステロンは、睾丸や卵巣、副腎から分泌されるホルモンの1つで、筋肉量増加に関係しているとの報告があり(1)、その分泌量は、体脂肪量によって変化することが確認されています(2)(3)。

具体的には、平均的な体重(≒体脂肪率)で最大化され、痩せ過ぎや太り過ぎでは低減してしまうのです。

「テストステロンは、筋肉量増加に関係していて、平均的な体重で分泌は最大化されるのか。とすると、まずは体重、無駄な贅肉を落として、その後で筋トレに取り組んだ方が、より効果的に筋肉をつけることができるはず」これが、体脂肪量減少→筋肉量増加の順序が推奨されている理由です。

個人的なオススメ順序

一般的には、体脂肪量減少→筋肉量増加の順序が推奨されているわけですが、個人的には、このように「期分け」をするのではなく、最初のうちから、体脂肪量減少と筋肉量増加に取り組むことをオススメしています。

つまり、スタートの段階から、食事制限等や筋トレを同時に開始するわけです。

では、なぜこのような主張をするのかというと、その方が、より早い段階で理想のスタイルになることができるからです。

ここからは、

体脂肪量減少→筋肉量増加:区分けスタート
体脂肪量減少と筋肉量増加を同時:同時スタート

と呼んで、理由を説明していきます。

筋肉量の増加要素

「テストステロンは、筋肉量増加に関係しているとの報告がある」と記載しましたが、筋肉量を増加させる要素は、何もテストステロンだけではありません。

少し難しい言葉になりますが、機械的張力・筋損傷/再生・代謝環境なども、筋肉量を増加させる要素として、それも重要な要素として確認されています(4)。

つまり、テストステロンは、筋肉量を増加させるにあたって、必ずしも必須ではないのです。

確かに、区分けスタートと同時スタートでは、区分けスタートの方が筋肉量の増加速度は高まるかもしれません。

筋肉がつきやすいかもしれません。

しかし、筋肉量を増加させる他の要素も加味すると、筋肉のつきやすさの差は、限りなく微々たるものでしょう。

テストステロンレベルも「平均的な体重で最大化される」というだけであり「過体重では0になる」というわけではないのですから。

わかりやすく例えるのであれば、区分けスタートは「12:00発車の超快速電車」同時スタートは「8:00発車の快速電車」になります。

仮に、移動速度に多少の差はあったとしても、早いうちから出発した方が、早い段階で目的地に到着することが可能です。

仮に、筋肉量の増加速度に違いはあったとしても、早いうちから筋トレに取り組んだ方が、早い段階で筋肉量を増加=理想のスタイルになることができます。

体脂肪量減少と筋肉量増加の可不可

このような話をすると「いや、そもそも、体脂肪量減少と筋肉量増加を両立させることは不可能でしょ?同時スタートだと、結局のところどっちつかずになっちゃうから、やっぱり区分けスタートの方が良いよ」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、近年の科学的知見によると、体脂肪量減少と筋肉量増加の両立は十分に可能です(5)(6)(7)。

18〜35歳の男女を対象に、約9週間、食事制限と筋トレを実施してもらい、体組成がどのように変化するのかを調査した研究があります(5)。

その結果、体脂肪量はおおよそ5kg減少、筋肉量はおおよそ1kg増加しました。

もっとも、ボディビルダーを対象とした研究では、体脂肪量減少と筋肉量増加の両立は確認できなかったため、状況によっては不可能な場合もあるかもしれません(8)

が、ごく一般的な方においては、全く問題ないかと思われます。

最後に

例えば、今現在のカラダに強いコンプレックスがあり、スポーツジムに通うのが恥ずかしい・人前に出たくないという方に関しては、何も無理に同時スタートをする必要はありません。

しかし、特にこれといった理由がないのであれば、やはり同時スタートにした方が良いのではないかと思います。

 

<参考文献>

(1)Testosterone administration to elderly men increases skeletal muscle strength and protein synthesis

(2)Sex Steroid Hormone Levels and Body Composition in Men

(3)Physiological implications of preparing for a natural male bodybuilding competition

(4)The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training

(5)Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes

(6)Effect of a hypocaloric diet, increased protein intake and resistance training on lean mass gains and fat mass loss in overweight police officers

(7)Effects of a short-term pre-season training programme on the body composition and anaerobic performance of professional rugby union players

(8)A nutrition and conditioning intervention for natural bodybuilding contest preparation: case study