札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

近年「トレーニングボリューム」なるものが、筋トレの効果を決める要因になることがわかってきました。

トレーニングボリュームは、一般的に重量・回数・セット数、以上3項目の積で表されることが多く、例えば80kg・10回・4セットのメニューを組んだ場合は

80 × 10 × 4

このような式で求められ

「3200」がトレーニングボリュームとなります。

簡単にいうと「合計どれくらい持ち上げたのか?」のことです。

冒頭でお伝えした通り、トレーニングボリュームは筋トレの効果を決める、厳密には筋肥大の程度を決める要因になることがわかっており

・トレーニングボリュームが増えると、より大きな筋肥大が起こる。
・重量・回数・セット数が違えど、トレーニングボリュームが同じなら同等の筋肥大が起こる。

との報告がいくつもあります。

という話を、先日お客様にお伝えしたところ「前回、ベンチプレスで100kg挙がるかどうか試しましたよね?なんとかギリギリ1回挙がりましたが、その前にウォーミングアップで20kgを5回挙げているじゃないですか?100kg1回と20kg5回、トレーニングボリュームは同じだと思うのですが、キツさは全然違うのに、これも同等の筋肥大が起こるのですか?」とのご質問をお受けしました。

今回は、このご質問にお答えする形で記事を書いていきたいと思うのですが、最初に結論からお話ししますと、上記のような場合では、たとえトレーニングボリュームが同じでも、同等の筋肥大が起こることはまずないかと思われます。

「トレーニングボリュームが同じでも軽い重量では筋肉がつきにくい」との報告があるからです。

20%1RMの重量と同じトレーニングボリュームにしてみたら

(1)では、トレーニング経験のない男性を対象に、トレーニングボリュームを同じにしたうえで、異なる4つの負荷では筋肥大の効果にどのような違いが出るのか?について調べています。

・片一方の腕と脚を、アームカールとレッグプレスで、20%1RMの重量に設定し限界まで追い込んでもらう。
・その際に計測されたトレーニングボリュームと同じになるまで、もう一方の腕と脚を、40%・60%・80%1RMのいずれかの重量に設定し追い込んでもらう。

という流れです。

ちなみに、〇〇%1RMは、最大重量の〇〇%を表しています。

結果は以下のとおりです。

腕の筋肉
20%1RM 11.4%増加
40%1RM 25.3%増加
60%1RM 25.1%増加
80%1RM 25.0%増加
脚の筋肉
20%1RM 8.9%増加
40%1RM 20.5%増加
60%1RM 20.4%増加
80%1RM 19.5%増加

ご覧の通り、全ての負荷で筋肥大は起こりましたが、その程度には差があることが確認できます。

具体的な数値の断言はできませんが、少なくともこの研究を元にするのであれば、20%1RMのような軽い(軽すぎる)重量では、たとえトレーニングボリュームが同じでも、筋肥大の効率は良くない=筋肉がつきにくい、と言っても差支えなさそうです。

最後に 自重トレーニングについて

このような報告があるため、筋肥大を狙ったトレーニングをするのであれば、基本的には、一般的に推奨されている75%1RM前後の重量=筋肉に対してしっかりと刺激が入る負荷を扱った方が効率的かと思います。

ということを考えると、場合によっては、自分の体重のみを負荷とする自重トレーニングは、筋肉をつけるにあまり効果的ではないかもしれません。

例えば、これといった運動の経験がない過体重の方が腕立て伏せをするとして、10回前後で限界が来るようであれば、自重そのものが75%1RMの重量に相当しますので、これに関しては問題ないでしょう。

しかし、十分な運動の経験がある痩せ型の方が腕立て伏せをするとしたら、10回どころか、50回以上ポンポン繰り返せることも珍しくないはずです。

そんな状況では、自重が20%1RM以下の重量になっている可能性が高く、先ほどの研究を元にするのであれば、筋肥大の効率は良くないかもしれません。

もっとも、何を目的にトレーニングをするかは人それぞれですので、場面に応じて臨機応変に取り組むのが望ましいと思いますが、それなりの負荷が扱えるジムに通うとか、機材を購入してホームジムを充実させるとかが、効率的に筋肉をつける近道になるかと思われます。

 

<参考文献>

(1)Effects of different intensities of resistance training with equated volume load on muscle strength and hypertrophy