札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

一般的に、いわゆる「筋トレ」は、筋肉量の増加や、筋力・筋パワーの向上を目的として実施されます。

筋肉量を増加させたり、筋力・筋パワーを向上させることで、かっこいい&美しい身体を作るほか、生活の質をはじめ、スポーツの競技力を高めたりするわけです。

しかし、筋トレの効果はそれだけではありません。

筋トレには「血圧」という点においても、実は有益な効果が確認されています。

一時的な血圧の上昇について

まず、筋トレ中(厳密には負荷をかけている動作中)は、一時的に血圧が上昇することが確認されています(1)(2)。

血圧の上昇度合いは、強度の大きさ・こなす回数・呼吸の有無など、様々な要因のもと決定されるため、一概にこれくらい上昇すると言うことはできませんが、収縮期(上)で350mmHg・拡張期(下)で250mmHgまで上昇したとの報告もあるほどです。

これは、筋肉にググッと力を入れることで、血流量が制限されたのが原因であろうと考えられています。

蛇口に繋がれたホースを折り曲げると、流れてくる水の圧でホースがパンパンになるのをイメージしていただければわかりやすいかもしれません。

そのため、特に高血圧の方に関しては、筋トレが推奨されていない雰囲気があります。

「ただでさえ血圧が高いのに、筋トレなんかするともっと血圧が高くなってしまう。危険だ」というのがその理由です。

長期的な血圧の低下について

先ほど「筋トレをすると血圧が上昇する」とお伝えしましたが、これは負荷をかけている動作中の話であり、一時的なものにすぎません。

では、筋トレを数週間〜に渡って継続した場合はどうなのかというと、神経活動や血管構造に変化が起こったからか、収縮期・拡張期ともに、安静時において血圧が低下したとの報告があります(3)。

つまり、長い目で見ると、筋トレには高血圧を改善させる効果が期待できるということです。

メニューには注意を

今日は、血圧に焦点を当てた記事を書きましたが、近年の科学的知見によると、筋トレは高血圧にも良い影響を及ぼすと言えそうです。

しかし、1つ注意していただきたいことがあります。

それは、あくまでも「適切なメニューを組んだ場合」の話であるということです。

いくら筋トレに高血圧を改善させる効果があったとしても、比較的高強度で、20回以上限界まで追い込んで、呼吸は極力止めて、という具合に、血圧をかなり急上昇させるようなメニューでは、正直なところ高い危険が伴うかと思います。

もし、高血圧を改善させる目的で筋トレを取り入れるのであれば、40%以下の低強度で、余力を残し追い込まないで、呼吸は常にして、という具合に、血圧の上昇を抑えるようなメニューがオススメです。

とは言えど、ご自身でメニューを組むのはなかなか大変でしょうし、血圧の上昇度合いは、エクササイズ種目・動員される筋肉量・セット数・セット間休憩時間などによっても変わってくるはずですので、基本的には有資格者に指導を依頼した方が間違いはないはずです。

 

<参考文献>

(1)Arterial blood pressure response to heavy resistance exercise

(2)Influence of breathing technique on arterial blood pressure during heavy weight lifting

(3)Progressive resistance exercise and resting blood pressure : A meta-analysis of randomized controlled trials