札幌市のダイエット・ボディメイク専門パーソナルトレーニングジム「スタイルメソッド」の古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

皆様は「バルクアップ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

バルクアップは、いわゆる「かさ増し」のことで、基本的には筋肉量を、場合によっては体脂肪も増加させ、身体の容積を増やす意味を持ちます。

今日は、バルクアップに焦点を当て記事を書いていきたいと思います。

バルクアップの条件 オーバーカロリー

まず、大前提として、バルクアップをするためには筋肉に刺激を入れる必要があります。

これについては、改めて説明するほどのものではないかもしれませんが、筋肉量は、筋肉に刺激が入ることで増加するからです。

実際、筋肉に刺激を入れる=トレーニングをすることにより「筋肉量が増加した」との報告は多々存在します(1)(2)。

しかし、いくら十分なトレーニングをしても、筋肉の元になる栄養素、タンパク質を摂取しなければ、筋肉量の増加は望めません(3)。

腕利きの職人たちが何人集まろうと、建築材料がなければ、立派な家屋を増築できないのと同じように。

そのため、バルクアップをしたいのであれば、今現在の生活を送る、および、今現在の体型を維持するカロリー量(食事量)に「トレーニングをする分のエネルギー」をはじめ「筋肉の元になる分のタンパク質」を加える必要があります。

消費カロリーと摂取カロリーを比べたとき「2500kcalの消費、3000kcalの摂取」のように、摂取カロリーの方が多いプラスの状況を作る必要があるわけです。

この状況は「オーバーカロリー」と呼ばれており、バルクアップの条件として知られています。

バルクアップのやり方

バルクアップをするためにはオーバーカロリーが、言い換えると、カロリーの収支をプラスにする必要があるわけですが、どれくらいプラスにすれば良いのかというと、やり方は大きく2つあります。

1つ目は「がっつりプラスにしようぜ!」という方法、2つ目が「必要な分だけプラスにしようぜ!」という方法です。

がっつりプラスにしようぜ! ダーティーバルク

カロリーの収支をがっつりプラスにするやり方は「ダーティーバルク」と呼ばれています。

具体的な線引きはありませんが「2500kcalの消費、3500kcalの摂取」のように、1000kcalもプラスであれば、ダーティーバルクと捉えてまず問題ないでしょう。

先述した通り、ダーティーバルクはカロリーの収支をがっつりプラスにするため、筋肉量の増加に必要な分以上のカロリーを摂取することに繋がります。

つまり、カロリーが余るわけです。

そのため、ダーティーバルクではもちろん筋肉量は増加しますが「余ったカロリーが体脂肪として蓄積される」という特徴があります。

必要な分だけプラスにしようぜ! リーンバルク

カロリーの収支を必要な分だけ、つまり、筋肉量の増加に必要な分だけプラスにするやり方は「リーンバルク」と呼ばれています。

トレーニング歴・トレーニング内容・体重など、その人の状況によって変わってはきますが「2500kcalの消費、2700kcalの摂取」のように、200kcal前後プラスにするのが一般的です。

ダーティーバルクとは違い、リーンバルクでは体脂肪の蓄積を抑えながら、筋肉量を増加させることができます。

ダーティーバルクVSリーンバルク

ダーティーバルクでは筋肉量と体脂肪を、リーンバルクでは筋肉量のみの増加を狙うわけですが、どちらのバルクアップ法を取り入れるべきなのでしょうか?

その問いにお答えするため、ここでは2つの研究をチェックしていきます。

アスリートを対象とした研究

平均年齢19歳前後のアスリートに、8〜12週間トレーニングを行ってもらい、オーバーカロリー量の違いが、体組成にどのような影響を及ぼすかが調査されています(4)。

1日あたり、おおよそ3600kcal摂取する大オーバーカロリーグループと、おおよそ3000kcal摂取する小オーバーカロリーグループに分け、筋肉量(厳密には除脂肪量)や体脂肪の変化を調べたわけです。

その結果、

トータル筋肉量:両グループで増加し、グループ間で差はなかった。
脚部筋肉量:大オーバーカロリーでのみ増加した。
体脂肪:大オーバーカロリーでのみ増加した。

とのデータが得られました。

ボディビルダーを対象とした研究

平均年齢27歳前後のボディビルダーに、4週間トレーニングを行ってもらい、オーバーカロリー量の違いが、体組成にどのような影響を及ぼすかが調査されています(5)。

1日あたり、おおよそ6100kcal摂取する大オーバーカロリーグループと、おおよそ4500kcal摂取する小オーバーカロリーグループに分け、筋肉量や体脂肪の変化を調べたわけです。

その結果、

筋肉量:両グループで増加し、大オーバーカロリーでより増加した。
体脂肪:大オーバーカロリーでのみ増加した。

とのデータが得られました。

どちらのバルクアップ法がオススメ?

バルクアップに関する研究を2つ紹介しましたが、得られたデータを元に考察すると、

ダーティーバルク:リーンバルク以上に筋肉量は増加するが、その分体脂肪も蓄積される。
リーンバルク:ダーティーバルクほど筋肉量は増加しないが、体脂肪の蓄積は抑えられる。

と、まとめることができそうです。

では、これらの考察を踏まえたうえで、どちらのバルクアップ法がオススメなのかというと、一概に「〇〇の方がオススメ」と断言することはできません。

状況によって変わります。

例えば、体型の細さにコンプレックスがあり「筋肉でも脂肪でも、どっちでも良いからとりあえず太くしたい!」という方はダーティーバルクを、何か理由があり「極力脂肪は増やしたくない!筋肉だけが欲しい!」という方はリーンバルクを取り入れるべきでしょう。

イベントを控えている場合

ダーティーバルクにもリーンバルクにも、それぞれ長所と短所が存在するわけですが、一般的にバルクアップを望まれる方は「イベントを控えている場合が多い」という印象があります。

「夏、海水浴に行く約束があるから、できるだけかっこいい身体にしたい」や「友人の結婚式が3ヶ月後にあって、出し物をするとき脱ぐから、できるだけかっこいい身体にしたい」などです。

このように、もうすでに予定が決まっており、かっこいい身体=「筋肉はあるけど体脂肪は少ない体型」になりたいとしたとき、どのようなアプローチをすれば良いのかというと、戦略は2つあります。

1つ目は「ダーティーバルク→がっつり減量」2つ目は「リーンバルク→応じて減量」です。

ダーティーバルク→がっつり減量戦略は「とりあえず筋肉量を最大限増加させ、その後、余計な体脂肪を減少させる」というものです。

最初のうちは十分な食事量を摂取し、頃合いを見計らって、今度は食事量を制限する流れになります。

一方、リーンバルク→応じて減量戦略は「体脂肪の蓄積を抑えながらも筋肉量を増加させ、その後、気になるようであればちょこっと体脂肪を減少させる」というものです。

ダーティーバルクほど、食事量が時期によって大きく変化することはありません。

では、どちらの戦略がオススメなのかというと、これもバルクアップ法同様、一概に「〇〇の方がオススメ」と断言することはできません。

これらの戦略に関する研究は、私が知る限り行われておらず、その人のトレーニング年数・体脂肪率・代謝機能などによって、最終的な仕上がり具合が変わると思われるからです。

しかし、個人的な感覚ではありますが、近年では、食事量の大きな増減がストレスになりやすいとの理由から、リーンバルクが推奨される場面が多いような気はします。

最後に

先ほど、バルクアップに関する研究を2つ紹介しましたが、被験者はアスリートとボディビルダーであるため、得られたデータがトレーニング初心者にも当てはまるとは限りません。

また、オーバーカロリー量が同じだとしても、タンパク質・糖質・脂質の三大栄養素の内訳を変えれば、異なるデータが得られていたかもしれません。

しかし、繰り返しになりますが、ダーティーバルクとリーンバルクには、それぞれ長所と短所が存在するのは事実です。

バルクアップをする際は、各方法の特徴を踏まえ、臨機応変に取り入れるようにしましょう。

 

<参考文献>

(1)Time course for strength and muscle thickness changes following upper and lower body resistance training in men and women

(2)Muscle quality. II. Effects Of strength training in 65- to 75-yr-old men and women

(3)The effect of resistance training combined with timed ingestion of protein on muscle fiber size and muscle strength

(4)Effect of nutritional intervention on body composition and performance in elite athletes

(5)Effects of Different Dietary Energy Intake Following Resistance Training on Muscle Mass and Body Fat in Bodybuilders: A Pilot Study