札幌市のダイエット・ボディメイク専門パーソナルトレーニングジム「スタイルメソッド」の古本 直也(フルモト ナオヤ)です。
ダイエット目的で、有酸素運動を行われている方は多いのではないでしょうか?
その中でも、特にウォーキングやランニングは、極端な話「道」があればいつでもどこでも実施できるため、多くの方から愛好されているという印象があります。
しかし、有酸素運動による体脂肪の減少効果においては「20分以上やらないとお肉は落ちないよ!」「いやいや、5〜10分もあればお肉は落ちるよ!」という具合に、人それぞれで意見が食い違っているのが現状です。
今回の記事は、有酸素運動に焦点を当て「開始何分から体脂肪が使われるのか?」についてお伝えしていきます。
ATP
まず、私たちが何らかの運動を行う(筋肉を動かす)際には「ATP」が必要になります。
ATPは、アデノシンと3個のリン酸が結合した化合物なのですが、車でいうところのガソリンだと思っていただければ問題ありません。
ATPは、先述した通り筋肉を動かすエネルギー源になるため、筋肉内に一定量貯蔵されているのですが、その量はごく限られています。
そのため、持続して運動を行うためには、新たなATPを産生し続けなくてはいけません。
では、何を元に新たなATPが作り出されているのかというと、ここで登場するのが糖質や脂質です。
「糖質や脂質は、運動を行う際のエネルギー源になる」というセリフを聞いたことがあるかもしれませんが、これらは体内で分解され、新たなATPを作り出す材料として利用されています。
運動強度とエネルギー供給率の変化
糖質と脂質は、筋肉を動かすエネルギー源になるわけですが、その「使われ具合」は状況によって変わります。
上のグラフは、運動生理学やスポーツ生理学に関連した教科書によく見られるモノで、運動強度とエネルギー供給率の変化を表しています。
安静時を含め、ウォーキングなど運動強度が低い状態では、糖質と脂質が約50%ずつATPの産生に貢献し、逆にランニングなど運動強度が高い状態では、ATPの産生に対する糖質の貢献度が大きくなるということです。
運動時間とエネルギー供給率の変化
先ほどのグラフは、運動強度に着目したモノでしたが、今度の下のグラフは、ウォーキングにおける運動時間とエネルギー供給率の変化を表しています。
ウォーキングスタート直後は、ATPの産生に対する糖質の貢献度が大きくなっていますが、開始20分を境目に逆転しているのが見て取れます。
「有酸素運動では開始20分から体脂肪が使われる」わけではない
ATP、およびエネルギー供給率などの基礎的な部分を確認ができたところで本題に入っていきますが、結論を話しますと「有酸素運動では開始20分から体脂肪が使われる」わけではありません。
この記事を読んでいる瞬間も、体脂肪がエネルギーとして使われています。
あくまでも、ウォーキングなど運動強度が低い有酸素運動においては、開始20分を境目に、ATPの産生に対する脂質の貢献度が大きくなるというだけです。
最後に
今日は、有酸素運動に焦点を当て「開始何分から体脂肪が使われるのか?」についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
ダイエットに役立てていただければ、と思います。
<参考文献>
Fox E.L. 渡辺和彦訳 : スポーツ生理学