札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。
筋トレでは、重量・回数・セット数・休憩時間・頻度など、様々な項目に気を配る必要があります。
それらの項目をどうするかで、得られる効果が変わってくるためです。
今日は、様々ある項目のうちの1つ「エクササイズ順序」に焦点を当て、どのような順番で筋トレを進めていけば良いのかについて、詳しく説明をしていきたいと思います。
効果
エクササイズ順序が、効果にどう影響するのかを調べた研究はいくつかあるのですが、筋力の向上においては、優先したエクササイズの方が大きくなるとの報告があります(1)。
これは、肉体的、および精神的な疲労の影響でしょう。
優先することによって、万全の態勢でそのエクササイズに臨むことができるため、効果もその分高まると予想されます。
一方、意外なことに筋肉量の増加においては、エクササイズ順序の影響は特に確認されていません。
もっとも、個人的には、このような結果が得られた背景には研究期間が関係していると考えており、半年や1年以上の比較的長期間では、筋肉量の増加においても、筋力の向上同様、優先したエクササイズの方が大きくなるのではないかという印象を持っています。
優先したエクササイズで、大きな筋力の向上が起こるのであれば、その分扱う重量を増やすことができるためです。
もちろん、これはあくまでも推測に過ぎませんが、少なくとも筋力の向上においては、優先したエクササイズの方が大きくなるのは間違いなさそうですので、効果に焦点を当てるのであれば、重要度の高いエクササイズを優先することが望ましいでしょう。
怪我のリスク
先ほど、効果の観点から「重要度の高いエクササイズを優先することが望ましい」とお伝えしましたが、これをその通りに実践すると、ある問題が生じる可能性があります。
それが、怪我のリスクの上昇です。
基本的に、筋トレは危険性の高い運動ではありません。
サッカー・バスケット・ラグビーをはじめとした、ごく一般的なスポーツと比べると、怪我のリスクはかなり低いとの報告もあります(2)。
しかし、だからと言って「全く危険ではない。筋トレで怪我をすることは絶対にない」というわけではありません。
肉体的、および精神的な疲労が災いし、不適切なフォームで動作を行えば、日常生活に大きな支障をきたす怪我を負うことも十分に考えられます。
そのため、怪我のリスクに焦点を当てるのであれば、重要度の高いエクササイズではなく、難度、かつ危険度の高いエクササイズを優先することが推奨されます。
具体的には、適切なフォームの維持が難しく、比較的高重量を扱えて、重りの下に身体が位置するエクササイズを、肉体的にも精神的にも疲労が溜まっていない最初の方に実施するということです。
例えば、スクワットとデッドリフトでは、どちらも同じくらい適切なフォームの維持が難しく、比較的高重量を扱うことができますが、重り(バーベル)と身体の位置関係は異なります。
一般的なスクワットはバーベルを肩の上に担ぐため、バーベルの下に身体が位置することになりますが、デッドリフトはバーベルを手で持つことに加え、股関節よりも上に挙上することがないため、バーベルの下に身体は位置しません。
そのため、もし疲労困憊まで追い込み、これ以上反復できない限界まで来た場合、スクワットにおいては、バーベルに潰される可能性が考えられます。
一方、デッドリフトにおいては、先述した通りバーベルの下に身体が位置していないため、バーベルに潰されることはまず考えられません。
怪我のリスクに着目したうえで、スクワットとデッドリフトを実施するのであれば、デッドリフト→スクワットではなく、スクワット→デッドリフトの方が無難と言えるでしょう。
最後に
では、結局のところ、どのような順番で筋トレを進めていけば良いのかというと、効果と怪我のリスク両方に着目し、うまくバランスを取られることをオススメしています。
ただ、個人的な見解を述べるのであれば、効果よりも、怪我のリスクを重要視した方が良いように思えます。
つまり、まずは怪我のリスクを徹底的に低減させるようなメニューを組み、その後、どうしてもというエクササイズだけ順序を入れ替えるということです。
怪我をしてしまうと、1〜2週間どころか、場合よっては1〜2ヶ月間以上の長期に渡って、筋トレを中断せざるを得ない状況に陥るかもしれません。
こうなっては、本末転倒です。
比重としては「効果:2〜3 怪我のリスク:7〜8」ぐらいが、ちょうど良いのではないでしょうか。
<参考文献>
(1)What influence does resistance exercise order have on muscular strength gains and muscle hypertrophy? A systematic review and meta-analysis
(2)Relative Safety of Weightlifting and Weight Training