札幌市のダイエット・ボディメイク専門パーソナルトレーニングジム「スタイルメソッド」の古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

皆様も経験したことがあるかもしれませんが、ダイエットを継続していくと、2週間以上に渡って、体脂肪(体重)が落ちない停滞期に突入することがあります。

もちろん、必ず停滞期が来るわけではないのですが、理想の体重に近づくにつれ、停滞期を経験する方は多くなる印象です。

せっかく努力してダイエットをしているのに、体脂肪が落ちない=結果が出ないと、モチベーションが下がるだけでなく「あーもー何でさ!」とイライラしてしまいますよね?

今日は、そんな停滞期を乗り越えるための対処法について解説をしていきます。

ダイエットを成功させる条件

本題に入っていきたいと思うのですがその前に、ダイエットを成功させるためには、ある条件をクリアする必要があります。

それが「アンダーカロリー」です。

アンダーカロリーは、消費カロリーと摂取カロリーを比べた時、摂取カロリーの方が少ない状態を指しており、一般的なダイエットでは、体重×5〜10kcalをアンダーカロリー量に設定します。

仮に、体重が70kgだとすると、70kg×5〜10kcal=350〜700kcalがアンダーカロリー量となり、1日あたり2500kcal消費するならば、摂取カロリーの目安は1800〜2150kcalになります。

そして、このアンダーカロリー量では理論的に、1週間あたり、体重のだいたい「0.5〜1%」の体脂肪を落とすことが可能です。

なお、消費カロリーと摂取カロリーを比べた時、逆に摂取カロリーの方が多い状態は「オーバーカロリー」と呼ばれていますが、この状況で体脂肪が落ちることは基本的にありません。

体脂肪を落とすには、脂肪吸引や脂肪切除など特殊な方法を除き、日々のエネルギー収支をアンダーカロリーにする必要があります。

ダイエットに停滞期が来る理由

ここから本題に入っていきますが、ダイエットを継続していくと、そもそもなぜ体脂肪が落ちない停滞期がやって来るのでしょうか?

勘の良い方なら、もうすでに気づいたかもしれませんが、その理由はズバリ、アンダーカロリーになっていないからです。

「え?そんなことはない!基礎代謝(≒安静時代謝)を計算して、消費カロリーを計算して、アンダーカロリーになるようにしっかり食事制限もしているよ!」と思われる方もいらっしゃると思いますが、もしアンダーカロリーになっているのであれば体脂肪は落ちるはずです。

むしろ、体脂肪は落ちていかなければおかしいのです。

「アンダーカロリーになっていない、だから体脂肪が落ちない」と考えるのが自然でしょう。

では、なぜ安静時代謝を計算し、消費カロリーを計算し、アンダーカロリーになるようしっかり食事制限をしているにも関わらず停滞期がやってくるのかというと、理由はいくつか考えられるのですが、その中でも最も大きなものとしては「安静時代謝の低下による省エネモード」が挙げられます。

安静時代謝の低下

呼吸・拍動・体温維持など、生きていくために最低限必要なエネルギーは「基礎代謝」ですが、これとよく似たものに「安静時代謝」と呼ばれるエネルギー消費があります。

文字通り「寝たり座ったり、安静に過ごしている状態で消費されるエネルギー」が安静時代謝で、基礎代謝の約1.1〜1.2倍のエネルギー消費があり、その大きさは、体格=体重に依存しています(1)。

つまり「体重が重たければ重たいほど、安静時代謝も大きくなる」ということです。

筋肉量や体脂肪量、そのほか年齢や性別によっても変わってはきますが、体重が70kgの人と80kgの人では「80kgの人の方が安静時代謝は大きい」と思っていただいて、基本的には問題ありません。

ダイエットを始めると、体脂肪、および体重がどんどん落ちていきますが、先述した通り、安静時代謝は体重に依存するため、ダイエットが進むに伴い、安静時代謝も低下していきます。

これは、身体の成り立ち上、仕方のないことです。

しかし、ダイエットで恐ろしいのは「体重が落ちた分以上に、安静時代謝が低下することがある」という事実です。

説明をわかりやすくするため、例を出しましょう。

『ここに、体重80kgのAさんがいます。

彼の安静時代謝を測定したところ、ダイエット開始時点では1800kcalでした。

4ヶ月間ダイエットに励んだ結果、体重は70kgになりました。

体重が10kg落ちたため、安静時代謝も当然低下していると考えられます。

推定式を用い計算したところ、安静時代謝は1600kcalまで低下していると予想されました(-200kcal)。

しかし、実際に測定してみると、何と1300kcalまで安静時代謝は落ち込んでいました』

ということが、ダイエットには起こるのです。

つまり、ダイエットを継続していくと、内分泌系や神経系の活動レベル下がり、身体が「省エネモード」になることが確認されているのです(2)。

そのため、定期的に安静時代謝を計算し、消費カロリーを計算し、アンダーカロリーになるようしっかり食事制限をしていたとしても、それは計算上の話にすぎず、現実はアンダーカロリーになっていないことがあります。

ダイエットの停滞期の乗り越え方

ダイエットの停滞期を引き起こす原因には、安静時代謝の低下が考えられますので、安静時代謝を本来のレベルまで戻すことが、停滞期の乗り越え方になります。

では、どうすれば良いのかというと「リフィード」がオススメです。

リフィードの概要

リフィードには「(食材を)再供給する」という意味があり、一時的に摂取カロリーを増やす方法になります。

食事量を増やすことで、身体に対し「これから十分なエネルギーを送るよ〜。省エネモードを解除しようね〜」と指令を出すわけです。

そして実際、リフィードを実施することで、安静時代謝の低下を抑える=回復することが確認されています(2)。

リフィードの具体例

リフィードに関する研究は、いくつか行われているのですが、数に限りがあり、どのようなやり方がベストなのかはわかりません。

ただ、これまでの経験も加味すると、おそらく以下のような流れが良いのではないかと思います。

①最低でも1週間、理想は10日〜2週間に渡ってリフィードを取り入れる。
②「国立健康・栄養研究所の式を用いた基礎代謝量の推定」にアクセスし、各項目に必要事項を入力、基礎代謝量を計算する。
③下の身体活動レベル表から、当てはまる生活内容を選択し、身体活動レベルを基礎代謝量にかける。

身体活動レベル表
生活内容 身体活動レベル
座位での事務仕事がメイン(電話応答など) 1.4
基本的には座位だが、立位での仕事もたまにある 1.5
座位と立位の仕事が半々(営業など) 1.6
基本的には立位だが、座位での仕事もたまにある 1.7
立位での仕事がメイン(飲食など) 1.8

④身体活動レベルと基礎代謝量をかけたものが、摂取カロリーの目安。
⑤仮に、基礎代謝量が1500kcal、数値が1.5ならば、2250kcalを摂取する。
⑥食事量は原則として、糖質(米や麺類)で増やすこと。
※リフィード開始直後は、摂取カロリーを増やしたことで、体重が1kg〜増加する可能性がありますが、そのほとんどは水分等によるものですのでご安心ください。

最後に

リフィードは、ダイエットの停滞期を乗り越える優秀な対処法です。

常にアンダーカロリーにするのではなく、一時的ではありますが摂取カロリーを増やすことで、メンタル面にも良い影響が及びます。

ぜひ挑戦してみてください。

 

<参考文献>

(1)厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 加齢とエネルギー代謝

(2)Intermittent energy restriction improves weight loss efficiency in obese men: the MATADOR study