札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

トレーニングには、多種多様な種目が存在します。

スクワット・デッドリフト・ベンチプレス・ラットプルダウン…。

細かなバリエーションも含めると、200〜300は優に超えることでしょう。

しかし、メニューを作成するとき、逆に種目が多すぎて「何を取り入れたら良いのかわからない」と悩んでいる方は、案外多いのではないでしょうか?

私は今現在、パーソナルトレーナーとして活動していますが、トレーニングを始めたばかりの頃は、皆様と同じ悩みを持っていました。

どの種目を取り入れるべきかは、その人の目的や状況によって変わってくるため一概には言えませんが、基本的には多関節運動を中心にトレーニングをするべきだと考えています。

多関節運動と単関節運動 概要と特徴について

トレーニング種目は、使う関節の数によって、2つに分類することができます。

1つ目が「多関節運動」2つ目が「単関節運動」です。

多関節運動

多関節運動は、複数(2つ以上)の関節を動かす種目のことで、代表的なものとしては、スクワットやラットプルダウンが挙げられます。

「コンパウンド種目」とも呼ばれており、こちらの方が聞き慣れているかもしれません。

先述した通り、多関節運動は複数の関節を動かすため「一度に多くの筋肉を鍛えることができる」という利点を持っています。

例えばスクワットでは、太もも前の大腿四頭筋やお尻の大臀筋、ラットプルダウンでは、背中の広背筋や二の腕の上腕二頭筋などに刺激が入ります。

言うなれば、時間効率に優れているのが多関節運動です。

単関節運動

単関節運動は、別名「アイソレーション種目」と呼ばれており、1つの関節を動かす種目のことです。

代表的なものとしては、レッグエクステンションやアームカールが挙げられます。

単関節運動は、複数の関節を動かさないため、一度に多くの筋肉を鍛えることはできません。

一方で、場合にもよりますが「狙った筋肉のみを鍛えることができる」という利点を持っています。

少ない疲労で、特定の筋肉にピンポイントで刺激を入れることができるわけです。

なぜ多関節運動を中心にトレーニングをした方が良いのか?

各運動の確認ができたところで本題に入っていきますが、最初に記載したように、基本的にはどのような目的のトレーニングであったとしても、多関節運動を中心に取り組まれることをオススメしています。

では、なぜこのような主張をするのかというと「単関節運動と比べ、筋肥大、および筋力向上の効果は同等かそれ以上」との報告があるためです。

20代前半の男性を、ラットプルダウングループ(多関節)と、アームカールグループ(単関節)に分け、10週間のトレーニングを実施し、上腕二頭筋がどのように変化するのかを調べた研究があります(1)。

結果、両グループとも、筋肥大、および筋力向上が確認されましたが、グループ間で差はみられませんでした。

また、20代前半の男女を対象に、レッグプレスを行う脚(多関節)と、レッグエクステンション・レッグカールを行う脚(単関節)に分け、6週間のトレーニングを実施し、脚周りの筋力がどのように変化するのかを調べた研究もあります(2)。

結果、両脚とも、レッグプレス・レッグエクステンション・レッグカールの最大挙上重量が向上しましたが、レッグプレス脚でより高まりました。

単関節運動は、場合にもよりますが、狙った筋肉のみを鍛えることができる=特定の筋肉にピンポイントで刺激を入れることができるため、多関節運動よりも、筋肥大、および筋力向上の効果が大きいと言われています。

「上腕二頭筋の強化に効果的な種目は何ですか?」との質問に対して「ラットプルダウン!」と答えるトレーニーは少ないでしょう。

ほとんどのトレーニーが「アームカール!」と答えるはずです。

しかし、意外にも、ラットプルダウンとアームカールにおける上腕二頭筋への影響は同じでした。

さらに、脚周りの筋力に関しては、レッグエクステンション・レッグカールではなく、レッグプレスでより高まっています。

とするのであば、単関節運動ではなく、多関節運動をメインに取り入れた方が良いとは思いませんか?

より短い時間で、より多くの筋肉を効率的に鍛えることができるからです。

最後に

このような報告があるため、基本的には多関節運動を中心にトレーニングをするべきだと考えていますが、1つ注意していただきたいことがあります。

それは「単関節運動を取り入れる必要はない」と言っているわけではないということです。

先ほど紹介した(1)の研究は、過去6ヶ月に渡ってトレーニング経験のない方を対象としているため、得られたデータが、トレーニング経験者にも当てはまるとは限りません。

また、介入期間を、10週間→12週間→16週間→24週間と長くしていたら、グループ間で差がみられていたかもしれません。

そして、そのような可能性は十分にあると考えています。

そのため、繰り返しになりますが、基本的には多関節運動を中心にトレーニングをしていただきたいのですが、単関節運動を取り入れるメリットを享受できるのであれば、取り入れても全く問題ない、むしろ、積極的に取り入れるべきだと思います。

 

<参考文献>

(1)Single vs. Multi-Joint Resistance Exercises: Effects on Muscle Strength and Hypertrophy

(2)Comparison of single- and multi-joint lower body resistance training upon strength increases in recreationally active males and females: a within-participant unilateral training study