札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。
基本的に、レッグレイズをはじめとした腹筋エクササイズは、トレーニングの最後に実施されます。
以前私が通っていたフィットネスクラブでは、初心者向けに簡単なメニュー表を渡していたのですが、レッグプレス(脚)→チェストプレス(胸)→ラットプルダウン(背中)→クランチ(お腹)と、ここでもラストに取り組むよう記載されていました。
今回は「なぜ腹筋はトレーニングの最後に鍛えるのか?」というタイトルで記事を書いていきたいと思います。
筋トレの順番に絶対的なルールは存在しない
初めに、筋トレの順番に絶対的なルールは存在しません。
結局のところ、トレーニングは自己満足の世界ですので、ご自身のやりたいようにやれば極論何でもOKです。
「腹筋エクササイズをトレーニングの最初に実施したらダメ!」なんてことはありませんし、他人がとやかく強制することでもないと考えています。
しかし、怪我をしては元も子もありませんので、やはりトレーニングをやるのであれば、安全性の高いものであるに越したことはないでしょう。
ということを考えると、腹筋エクササイズは、トレーニングの最後に実施した方が無難かもしれません。
トレーニングの安全性を高める要素について
まず、トレーニングは意外にも?安全性の高い運動として知られています(1)(2)。
例えば(1)では、様々な運動における100時間当たりの傷害率が調べられているのですが、それを見てみますと、
運動 | 傷害率 |
サッカー | 6.2 |
ラグビー | 1.92 |
バスケットボール | 1.03 |
クロスカントリー | 0.37 |
テニス | 0.07 |
トレーニング | 0.0035 |
パワーリフティング | 0.0027 |
ウエイトリフティング | 0.0017 |
このようになっており、おおよそ重り(バーベル)を挙上するスポーツは、怪我をしにくい運動と捉えても問題ないでしょう。
しかし、これはあくまでも「100時間当たりの傷害率が低い」だけに過ぎず「トレーニングで怪我をすることは絶対にない」というわけではありません。
日本でも、ベンチプレスによる死亡事故は数件起きていますので、トレーニングで怪我をしないための対策は必要不可欠かと思います。
では、どうすればトレーニングよる怪我のリスクを下げることができるのかというと、十分なウォームアップを行ったり、専門家に指導を仰いだり、器具が正常か確認したり、、、などいくつかの要素が挙げられるのですが、その中の1つに「筋トレの順番」があります。
筋トレの順番はトレーニングの安全性に影響を及ぼす
例えば、今からバーベルスクワットとアームカール、そしてレッグレイズを限界まで追い込んだとします。
この時、どのトレーニング種目が一番怪我をするリスクが高いでしょうか?
科学的な知見があるわけではありませんが、これはほぼ間違いなくバーベルスクワットになるでしょう。
限界まで追い込み「もう1回も挙がらない!」という局面まで達した時、バーベルスクワットではその重さに潰されることが考えられますが、アームカールとレッグレイズではそうはなりません。
怪我のリスクの高さは「バーベルスクワット>アームカール・レッグレイズ」と言えそうです。
では、この3種目をメニューに組み込むとした時、
①バーベルスクワット→アームカール→レッグレイズ
②レッグレイズ→アームカール→バーベルスクワット
上記では、どちらのパターンが怪我をするリスクが高いでしょうか?
科学的な知見があるわけではありませんが、これもほぼ間違いなく②になるでしょう。
②では、レッグレイズとアームカールによる肉体的&精神的な疲労が溜まった状態で、一番怪我をするリスクが高いと思われるトレーニング種目、バーベルスクワットを行うためです。
ここでは、少し極端な例を挙げましたが、このように怪我のリスクの高さはトレーニング種目、さらには筋トレの順番によって異なります。
そのため、特別なこだわりがない場合は、
・適切なフォームの維持が難しい
・比較的高重量を扱える
・重りの下に身体が位置する=潰される可能性がある
これらに該当するトレーニング種目を優先してメニューに組み込むことが推奨されています。
具体的には、先述したバーベルスクワット・ベンチプレス・デッドリフトなどです。
勘の良い方は既にお気づきかと思うのですが、腹筋エクササイズがトレーニングの最後に実施される理由は、それ自体にありません。
適切なフォームの維持が難しく、比較的高重量を扱えて、重りの下に身体が位置する=潰される可能性のあるトレーニング種目を優先してメニューに組み込むと「結果として」腹筋エクササイズはどうしても後ろに来てしまうのです。
個人的見解
今回は「なぜ腹筋はトレーニングの最後に鍛えるのか?」というタイトルで記事を書いてきました。
冒頭で触れた通り、結局のところ、トレーニングは自己満足の世界ですので、ご自身のやりたいようにやれば極論何でもOKです。
しかし、パーソナルトレーナーとして10年以上活動してきた身としては「安全性の高いトレーニングをやるに越したことはないのではないか?」と考えています。
<参考文献>
(1)Relative Safety of Weightlifting and Weight Training
(2)The Epidemiology of Injuries Across the Weight-Training Sports