札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

トレーニングを継続すると、スクワットやベンチプレスなんかで、自分は何kg持ち挙げられるのか?いわゆる、最大挙上重量=1RMに興味が湧いてくることがあります。

皆様も、ご経験があるのではないでしょうか?

今回の記事は、1RMを測定する必要性について、また、その計算式と実施する際の手順・注意点を書いていきます。

1RMとは?

では、早速本題に入ろうと思うのですがその前に、用語の確認から始めましょう。

「RM」は「Repetition Maximum」(レペティション マキシマム)を略した重さの指標で「最大往復回数」と日本語で訳されます。

フィットネス業界では「8RM」や「70%1RM」このような形で表記されることが多く、8RMは「最大8回往復することのできる重さ」を、70%1RMは「最大1回往復することのできる重さ=最大挙上重量の70%の重さ」を表しています。

1RMを測定する必要性について

用語が確認できたところで本題に入っていきますが、そもそも1RMを測定する必要はあるのでしょうか?

これについてはいろいろ言われていますが、個人的な見解をお伝えしますと、パワーリフティングなどのスポーツ競技を除き、ダイエット・ボディメイクを目的にトレーニングをしている場合は、1RMを測定したいならした方が良いし、したくないなら特別しなくても良い、と考えています。

というのは、1RMの測定には、メリットとデメリットが存在するからです。

まずメリットとしては、ゲーム性を孕んだ純粋な楽しさが挙げられるでしょう。

特に男性の方では、自分は何kg持ち挙げられるのか?がステータスになることもありますし、モチベーションの維持や向上に繋がるかもしれません。

また、上肢と下肢の筋力バランスや伸び率をより正確に把握できたり、より効率的なトレーニング強度を設定する材料にもなり得ます。

しかし一方で、大きなデメリットも考えられます。

1RMの測定には相応の時間がかかるため、状況によってはその日のトレーニングメニューを削る必要が出てくるでしょうし、特に女性の方では、高重量を扱う恐怖心や不安感があるかもしれません。

また、先ほどメリットの部分で「上肢と下肢の筋力バランスや伸び率をより正確に把握できたり、より効率的なトレーニング強度を設定する材料にもなり得ます」と記載しましたが、1RMを測定しなくても、上肢と下肢の筋力バランスや伸び率は問題なく分かりますし、効率的なトレーニング強度を設定することも十分に可能です。

そのため、当ジムでは、お客様からこれといった要望がない限りは、1RMを測定することは今現在ほとんどありません。

もっとも、私個人は、定期的に1RMを測定するようにしています(楽しいので)。

計算式

ではここから、1RMの測定を実施する際の手順・注意点に触れていきたいと思うのですが、まずは事前(可能なら本番の3日以上前)に、10回前後こなせるであろう重さを用い、スクワットなりベンチプレスなりを限界まで追い込んでみてください。

ちなみに、この時フォームが大きく乱れるようなら、1RMの測定は実施しない方が無難です。

1RMの測定は、最大挙上重量を知ると同意義ですので、自分の限界に挑戦することになります。

限界まで追い込むことでフォームが大きく乱れるようなら、1RMの測定時もフォームが大きく乱れ、怪我のリスクが高まると判断可能です。

限界まで追い込み、重さと回数を把握できたら、数値を以下の計算式に代入し、1RMの推定値を求めていきます。

計算式はいくつもあるのですが、もっとも簡単なものは「Epley式」でしょうか。

1RM = w(1+r/30)

wは重さ(weight)を、rは回数(repetition)を表しており、例えば80kgの重さで6回こなせた場合は、

1RM = 80(1+6÷30)
1RM = 80+16

1RMの推定値は90kgとなります。

なお、計算式の使用が面倒な場合は、下記のRM表を使用するのもアリです。

%1RM 最大往復回数
100 1
95 2
90 4
85 6
80 8
75 10
70 12
65 15
60 20

例えば70kgの重さで8回こなせた場合は、70kgが80%1RMとなるため、

1RM = 70÷0.8

1RMの推定値は87.5kgとなります。

なお、計算式もRM表も、完璧に1RMを導き出せるわけではありません。

特にスクワットは自重がかなり影響しますので、1RMの推定値はあくまでもおそらくに過ぎない、とお考えください。

実施する際の手順・注意点

1RMの推定値を事前に求めましたら、

ウォーム1セット目:推定値の30%1RM以下で10回
ウォーム2セット目:推定値の50%1RMで5回
ウォーム3セット目:推定値の70%1RMで3回
ウォーム4セット目:推定値の90%1RMで1回
本番:推定値に挑戦

という内容で進めていきましょう。

詳しく解説していきます。

ウォーム1セット目:まずは、軽い重さ(推定値の30%1RM以下)で10回こなします。この時に、フォームをしっかりと確認し、痛みや違和感がないかを調べてください。

ウォーム2セット目:フォームの確認、痛みや違和感がないかを調べたら、少し休憩を挟んだのち、推定値の50%1RMで5回こなします。

ウォーム3セット目:ウォーム2セット目と同様の流れで、推定値の70%1RMで3回こなします。

ウォーム4セット目:ウォーム3セット目と同様の流れで、推定値の90%1RMで1回こなします。

本番:ウォーム4セット目と同様の流れで、推定値に挑戦します。

パターン①推定値を持ち挙げられた場合:2分前後休憩を挟んで疲労を取り除いたのち、2.5〜5kg増やして再び挑戦します。なお、比較的余裕を持って推定値を持ち挙げられた場合は、5kg〜でも構いません。失敗するまでこれを繰り返し、最後持ち挙げられた重さが1RMです。

パターン②推定値を持ち挙げられなかった場合:2分前後休憩を挟んで疲労を取り除いたのち、2.5〜5kg減らして再び挑戦します。なお、推定値がかなり重たく感じた場合は、5kg〜でも構いません。

減らした重さで持ち挙げられた場合は、2分前後休憩を挟んで疲労を取り除いたのち、2.5〜5kg増やして再び挑戦します。失敗するまでこれを繰り返し、最後持ち挙げられた重さが1RMです。

ちなみにですが、本番はできるだけ少ないセット数で完結することを心がけたほうが良いかと思います。

本番のセット数が多くなればなるほど疲労がたまりますし、集中力も低下することで、本来持ち挙げられるはずの重さが持ち挙げられない、という恐れがあるためです。

最後に

今回の記事は、1RMを測定する必要性について、また、その計算式等を書いてきましたが、手順・注意点に関しては、私個人や信頼できるトレーナーの経験論に基づいています。

そのため、ここに記載した内容は、あくまでも参考程度に留めていただくことをオススメします。

何も、全てこの通りに取り組む必要は全くありません。

ただ、1RMの測定を実施するにあたって、個人的な意見をお伝えすると、

・ウォームセットの重さは、軽い負荷から始め段階的に増やしていく。
・ウォームセットの回数は、疲労がたまらない程度に抑える。
・ウォームのセット数は、多すぎず少なすぎず4セット前後。
・本番のセット数はできるだけ少なく。
・本番の休憩時間は2分前後。

みたいな感じのルールは持っておいた方が良いように思います。