札幌市のダイエット・ボディメイク専門パーソナルトレーニングジム「スタイルメソッド」の古本 直也(フルモト ナオヤ)です。
今日は、トレーニング前に静的ストレッチを実施するべきか?について記事を書いていきます。
静的ストレッチと動的ストレッチ
まず、本題に入る前に「ストレッチ」という用語について確認をしていきますが、これは「身体を良好な状態にする目的で、ある筋肉を引っ張って伸ばすこと(≒関節可動域を向上させること)」を意味します。
そして、一般的にストレッチは、痛気持ちいところで数十秒姿勢をキープする「静的ストレッチ」と、ラジオ体操のように身体を動かす「動的ストレッチ」に分類することが可能です。
これ以外にも、PNF(Proprioseptive Neuromascular Facilitation)など様々なストレッチ方法があるのですが、日常生活におけるストレッチという単語は、通常、静的ストレッチを指すと思ってもらって問題ありません。
トレーニング前に静的ストレッチを実施するべきか?
用語を確認できたところで本題に入っていきますが、近年の傾向としては、トレーニング前に静的ストレッチを実施することはあまり推奨されていません。
動的ストレッチが推奨されています。
トレーニング前に静的ストレッチを実施することで筋力が低下し、トレーニングの効果=筋肥大の効果が薄れてしまうという報告があるからです(1)(2)。
一方、動的ストレッチは静的ストレッチ同様の関節可動域向上効果が確認されており、さらには筋力も低下しません(3)。
まとめると以下のようになります。
静的ストレッチ:関節可動域は向上するが筋力が低下し、トレーニングの効果が薄れる可能性がある。
動的ストレッチ:関節可動域は向上し筋力も低下しないため、トレーニングの効果を高める可能性がある。
トレーニング前に静的ストレッチを実施するのはダメか?
先ほど「トレーニング前に静的ストレッチを実施することはあまり推奨されていません」と記載しましたが、何かしらのメリットを感じるのであれば、トレーニング前だとしても静的ストレッチを実施するのは十分にアリ、だと個人的に考えています。
例えば、長年のスポーツで肘を悪くした方がいたとして、静的ストレッチを実施することで痛みが緩和され、適切なフォーム動作を行え、かつトレーニングにガッツリ打ち込めるのであれば、多少筋力が低下したとしても、長期的に見るとトレーニングの効果を高める可能性が考えられます。
また、トレーニング前の静的ストレッチをルーティン化しており、一連の流れで集中力を高め、適切なフォーム動作を行え、かつトレーニングにガッツリ打ち込めるのであれば、こちらもまた多少筋力が低下したとしても、長期的に見るとトレーニングの効果を高める可能性が考えられます。
つまり、何を言いたいのかというと、0か1か極端になるのではなく、メリットとデメリットを十分に把握し、臨機応変に対応することが重要だということです。
ちなみに、静的ストレッチの後に動的な動作を実施すれば、筋力の低下が起こらない=トレーニングの効果に悪影響を与えない、と考えられる報告もあります(4)。
最後に
私は、札幌市でパーソナルトレーニングジムを運営しており、実際現場にも立っていますが、トレーニング前に静的ストレッチを実施させることはあまりありません。
しかし、静的ストレッチを実施することで大きなメリットを享受できる、と判断した場合は、たとえトレーニング前であったとしても、積極的に取り入れています。
<参考文献>
(1)静的および動的ストレッチング後に生じる 足関節可動域と筋力の経時的変化
(2)Effect of the flexibility training performed immediately before resistance training on muscle hypertrophy, maximum strength and flexibility
(3)The acute effect of static or dynamic stretching exercises on speed and flexibility of soccer players
(4)Effects of Warm-Up, Post-Warm-Up, and Re-Warm-Up Strategies on Explosive Efforts in Team Sports: A Systematic Review