札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。
一般的に、筋トレの前には、トレッドミルやエアロバイクなどで、低強度の準備運動(ウォームアップ)を行うことが推奨されています。
フィットネスクラブに通われたご経験のある方は、スタッフから「トレッドミルやエアロバイクなどで、10〜20分ほど軽く運動をした後に筋トレを行いましょう」と伝えられたことがあるのではないでしょうか?
今回は「筋トレ前にトレッドミルやエアロバイクなどを行う必要はあるのか?」というタイトルで記事を書いていきたいと思います。
結論
結論からお話ししますと、必ずしも筋トレ前にトレッドミルやエアロバイクなどを行う必要はありません。
理由を説明します。
筋トレ前は身体を温めておくに越したことはない
まず、筋トレに限らず、強度の高い運動の前は身体を温めておくに越したことはありません。
身体を温めておくことで、例えば傷害発生のリスクを低下させたり、大きな力発揮によるパフォーマンスの向上が期待できるためです。
傷害発生のリスク低下
これに関してはすでにご存知かと思いますが、強度の高い運動の前に身体を温めておくことで、傷害発生のリスク低下が期待できます。
特に寒い時期の車も、エンジンをつけてからすぐ走らせるのではなく、少し時間を置いてからの方が故障はしにくいでしょう。
私たちの身体も同じです。
身体を温めることで、筋肉や腱・靭帯といった身体組織の粘性が下がり、関節可動域が広がり、突然で予期し得ない動作に対する怪我の予防に繋がります。
実際、太もも裏のハムストリングスは、しばしば肉離れを起こす部位として知られていますが、その原因の1つにウォームアップ不足が挙げられているほどです(1)。
大きな力発揮によるパフォーマンス向上
こちらに関してもすでにご存知かもしれませんが、強度の高い運動の前に身体を温めておくことで、大きな力発揮によるパフォーマンス向上が期待できます。
例えばサッカーで、70%の力しか出せない場合と、90%の力を出せる場合では、当然後者の方が鋭いパスを渡せたり、より勢いのあるシュートを打てたりすることでしょう。
例えば(2)では、前腕を20分間温水に浸けるパターンと冷水に浸けるパターン、つまり、温めるパターンと冷やすパターンに被験者を分け、手首の伸展筋力を測定しています。
結果、冷やすパターンよりも温めるパターンで、手首の伸展筋力は有意に大きくなりました。
トレッドミルやエアロバイクなどは身体を温めるツールの1つ
筋トレに限らず、強度の高い運動の前に身体を温めておく重要性についてはご理解できたかと思います。
では、一体どうすれば身体を温めることができるのかというと、その代表的な手段として知られているのが、トレッドミルやエアロバイクなどです。
身体を温めるツールの1つとして、トレッドミルやエアロバイクなどがあるわけです。
そのため、身体を温めることができるのであれば、必ずしも筋トレ前にトレッドミルやエアロバイクなどを行う必要はありません。
エアロビクスやボクササイズなど、リズムに乗ったダンス系の有酸素運動でも構いませんし、状況によってはホットパックをあてがったり温水シャワーを浴びるなど、受動的な方法ももちろんアリです。
最後に
「必ずしも筋トレ前にトレッドミルやエアロバイクなどを行う必要はありません」と冒頭で結論をお話ししました。
が、トレッドミルやエアロバイクなどは、操作が簡単ですし、難しい動作もありませんし、最近ではテレビなんかを見ながら取り組むこともできます。
身体を温めるにあたって、利便性の高いツールの1つであることは間違いないでしょう。
しかし、繰り返しになりますが、筋トレ前にトレッドミルやエアロバイクなどを行う目的はそれ自体にはなく、あくまでも身体を温めることにあります。
臨機応変に対応していただければ幸いです。
<参考文献>
(1)Hamstring injuries. Proposed aetiological factors, prevention, and treatment
(2)Effect of temperature on muscle force and rate of muscle force production in men and women