札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。
一般的に、スクワットで太ももの内側を鍛えたい場合は、ワイド(肩峰間隔の200%くらい、肩幅よりも大きく足を開いたスタンス幅)が推奨されています。
しかし、太ももの内側は、肩幅程度に足を開いたスタンダードスクワットでも鍛えることが可能です。
内転筋群とスクワットの関係性
股関節の内転とワイドスクワット
太ももの内側には、大内転筋・長内転筋など、総称「内転筋群(ないてんきんぐん)」と呼ばれる筋肉が存在しています。
これらの筋肉は、名称通り股関節の内転に作用します。
「股関節の内転」とは、外側に開いた脚を内側に閉じるような動きです。
太ももの内側を鍛えるにあたって、ワイドスクワットが推奨されている理由はここにあります。
肩幅よりも大きく足を開いたスクワットを行うことで股関節の内転作用を生じさせ、内転筋群に強い刺激を入れてあげるわけです。
股関節の伸展とスタンダードスクワット
先ほど「内転筋群は股関節の内転に作用する」と記載しましたが、実はそれだけではありません。
大内転筋・長内転筋などは、股関節の伸展にも作用します。
「股関節の伸展」とは、曲げた脚を伸ばすような動きで、まさにスクワットの「しゃがんだ所から立ち上がる」がそれに該当します。
つまり、太ももの内側は、ワイドでなくともスタンダードスクワットで鍛えることが可能なのです。
(1)では、肩幅と同じくらいのスタンス幅でスクワットを10週間実施した際、下肢の筋肉量がどれくらい増加するのかを調べています。
結果は以下のとおりです。
このように、内転筋群の筋肉量は有意に増加しました。
太ももの内側をより鍛えるためにワイドスクワットを取り入れる必要はあるのか?
冒頭で触れたとおり、太ももの内側は、肩幅程度に足を開いたスタンダードスクワットでも鍛えることが可能です。
では、太ももの内側をより鍛えるためにワイドスクワットを取り入れる必要があるのか?というと、その意義は思っているより薄いかもしれません。
例えば(2)では、異なるスタンス幅におけるスクワット動作時の筋活動を調べているのですが、足を開くにつれて大内転筋のEMG値は上昇する傾向が確認されたものの、有意差は見られませんでした。
また、(3)でも同様の研究が行われているのですが、ここでも同じ結果が得られています。
そのため、太ももの内側を鍛えたいからといって、スクワットで無理にスタンス幅を広くする必要はないかと思われます。
それよりも、太ももの内側を鍛えたいのであれば、個人的にはアダクションがオススメです。
詳しくは下の動画をご覧いただきたいのですが、このアダクションはガッツリ股関節の内転作用に負荷が生じます。
確かにスタンス幅問わずスクワットで太ももの内側を鍛えることは可能ですが、股関節の伸展作用を持たない内転筋群も存在するため、太ももの内側が気になる方は、アダクションを積極的に取り入れるようにしましょう。
<参考文献>
(1)Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes
(2)スタンスの違いがスクワット動作時の筋活動に及ぼす影響
(3)The Effect of Stance Width on the Electromyographical Activity of Eight Superficial Thigh Muscles During Back Squat With Different Bar Loads