札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

「美しい&かっこいい体になりたくて、数ヶ月前から筋トレを始め一生懸命頑張っているのに、なぜか体脂肪が落ちない。痩せない」という方は多いのではないでしょうか?

効果が目に見えないのは、やはり辛いものがありますよね。

今日は、そんな悩みを持つ方に向けて、筋トレをしているのに体脂肪が落ちない理由を解説していきたいと思いますが、最初に衝撃的な真実からお伝えしますと、状況によって変わってはくるものの、実は筋トレの体脂肪減少効果は、噂されているほど大きくありません。

つまり、筋トレに体脂肪を落とす効果は、そもそもあまりないのです。

巷では「筋トレをしただけで体がみるみる変化した!1ヶ月で体脂肪が5kgも落ちた!」といったセリフがあちこちに流れていますが、あれは完全に誇張されています。

言い方が少しキツくなりますが、ちょっとやそっと筋トレをしたくらいでは、体脂肪が落ちなくて(目に見えた効果が出なくて)当たり前なのです。

アンダーカロリー

まず、体脂肪を落とすためには、カロリーの収支をマイナスにする必要があります。

摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくし「アンダーカロリー」と呼ばれる状況を作る必要があります。

そのため、体脂肪を落とす=アンダーカロリーを作るのであれば、今現在の生活を変え、摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やすかしなければいけません。

体脂肪減少においては、食事を制限したり、運動をしたりすることが様々な媒体から推奨されていますが、その理由がこれです。

食事を制限することで摂取カロリーを減らし、運動をすることで消費カロリーを増やしてあげるわけです。

体脂肪1kgを落とすのに必要なカロリー

一般的に、体脂肪1kgを落とすのに必要なカロリーは、7200kcalとも7600kcalとも言われていますが、ここでは説明をわかりやすくするため、7000kcalだと仮定しましょう。

とすると、1日あたり100kcalのアンダーカロリー生活を送れば、70日間で体脂肪が1kg落ちることになります。

少し多く、1日あたり200kcalのアンダーカロリー生活を送ったとすると、半分の35日間で1kgの体脂肪を落とすことが可能です。

筋トレの消費カロリーと安静時代謝の変化

体脂肪1kgを落とすためには、7000kcal分カロリーの収支をマイナス(アンダーカロリー)にする必要があるため、筋トレの消費カロリーを把握すれば、どれほどの期間で、どれほどの体脂肪が落ちるのかを簡単な計算で導くことができます。

例えば、1回の筋トレで600kcalを消費、それを週3回のペースで実施したとすると、1週間あたり1800kcal・1ヶ月あたり7200kcalを消費するため、特に食事を制限していないのであれば、その分がそのままがアンダーカロリー量となり、1ヶ月で体脂肪1kgが落ちると計算可能です。

では、2分前後の休憩を挟む、ごく普通な筋トレの消費カロリーはどれくらいなのかというと、体重90kgを越す男性の上級トレーニーで、体重1kg・1分につき、0.06kcalとの報告があります(1)。

意外なことに、かなりのマッチョマンでも、1時間あたりの消費カロリーは300kcalほどです。

とすると、体重やトレーニングメニューによっても変わってはくるでしょうが、運動経験のない初級トレーニーにおいては、1時間あたり200kcalも消費できれば、だいぶ良い方ではないかと思われます。

想像しているよりも、少なかったのではないでしょうか?

これを元に、1回の筋トレで200kcalを消費、それを週2回のペースで実施したと仮定すると、1週間あたり400kcal・1ヶ月あたり1600kcalを消費するため、特に食事を制限していないのであれば、その分がそのままがアンダーカロリー量となり、1ヶ月で200gちょいしか体脂肪が落ちない計算になります。

「いやいや。筋トレをしたら筋肉がつくでしょ?筋肉がつくと安静時代謝が上昇するから、消費カロリーはもっと多くなるよ。1ヶ月で200gちょいしか体脂肪が落ちないなんて、そんなのあり得ない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし「消費カロリーがもっと多くなる」とは言い難いかもです。

筋トレ(筋肉量の増加)による安静時代謝の変化を調べた研究はいくつかあるのですが、それらを見る限り、1年間で100kcalも上昇すれば、だいぶ良い方ではないかと思われます(2)(3)。

1ヶ月に直すと、8kcalほどの上昇です。

想像しているよりも、微々たるものだったのではないでしょうか?

「筋トレの消費カロリーは案外少ない」「筋トレによる安静時代謝の変化は案外微々たるもの」このような理由から、ちょっとやそっと筋トレをしたくらいでは、体脂肪が落ちなくて(目に見えた効果が出なくて)当たり前なのです。

そして実際、平均年齢20歳の若い女性を対象に、特に食事を制限せず、約2ヶ月間、スクワットやダンベルプレスなどのエクササイズを週3日実施してもらったところ「筋肉量は増加したものの、体脂肪に有意な減少は確認されなかった」とのデータが得られています(4)。

最後に

先ほどから「ちょっとやそっと筋トレをしたくらいでは、体脂肪が落ちなくて(目に見えた効果が出なくて)当たり前なのです」と発言していますが、これはあくまでも低頻度・短期間の話に過ぎません。

(4)の研究では、確かに有意な変化は確認されなかったものの、体脂肪はわずかに減少している傾向がみられます。

そのため、高頻度・長期間の筋トレでは、それ相応の労力が必要になりますが、もちろん体脂肪は落ちるでしょうし、目に見えた効果も出ることでしょう。

しかし、お仕事や育児をされている方は、週4〜6回もジムに通うのは難しいでしょうし、また、どうせ体脂肪を落とすのであれば、早い段階で目に見えた効果が出るに越したことはないと思いますので、体脂肪を落としたいのであれば、筋トレだけではなく、食事制限や有酸素運動にも取り組まれることをオススメします。

最後に、1つだけお伝えしたいことがあるのですが、基本的に筋トレは「筋肉をつけるための手段」という位置につけておいた方が無難です。

「体脂肪を落とすための手段」としては、いささか力不足な気がしてなりません。

 

<参考文献>

(1)Energy Cost of the ACSM Single-set Resistance Training Protocol

(2)Effect of Resistance Training on Resting Metabolic Rate and Its Estimation by a Dual-Energy X-ray Absorptiometry Metabolic Map

(3)The Effects of a 20-week Exercise Training Program on Resting Metabolic Rate in Previously Sedentary, Moderately Obese Women

(4)The Effects of Moderate- Versus High-Load Resistance Training on Muscle Growth, Body Composition, and Performance in Collegiate Women