札幌市のパーソナルトレーニングジム スタイルメソッドの古本 直也(フルモト ナオヤ)です。

下半身の筋群を鍛える代表的な種目にスクワットがあります。

スクワットは、別名「キング・オブ・エクササイズ」とも呼ばれており、どのような目的であれ、パーソナルトレーニングではまず間違いなく指導されると言っても過言ではないくらい人気の高い種目です。

おそらく、皆様もメニューに取り入れているのではないでしょうか?

しかし、スクワットで鍛えることのできる部位の話になると、トレーニーそれぞれで案外意見が分かれます。

特に、太もも裏の筋肉「ハムストリングス」に関しては顕著で「ガッツリ鍛えることができる」という方もいれば「ほとんど鍛えることができない」という方もいるほどです。

今日は、スクワットに焦点を当て、ハムストリングスを鍛えることができるのかどうかについて説明をしていきたいと思いますが、個人的な見解からお伝えしますと「スクワットでハムストリングスをガッツリ鍛えることは難しい。全く鍛えることができないとは言わないが、少なくとも、スクワットはハムストリングスを鍛えるうえで効果的な種目とは言えない」と考えています。

2つの研究

スクワットにおけるトレーニング(筋肥大)効果を調べた研究は、私が知っている限り2つあります。

まず1つ目ですが、過去6ヶ月に渡ってトレーニングをしていない男性を対象に、12週間のスクワットプログラムを行ってもらい、太もも前の筋肉「大腿四頭筋」およびハムストリングスの筋量にどのような影響が出るのかが調べられています(1)。

結果、大腿四頭筋は太ももの付け根〜膝の近くに至る様々な箇所で増加しましたが、ハムストリングスに関してはごく一部の箇所でしか増加しませんでした。

次2つ目ですが、こちらも過去1年間に渡ってトレーニングをしていない男性を対象に、10週間のスクワットプログラムを行ってもらい、大腿四頭筋・お尻の筋肉「大臀筋」・内ももの筋肉「内転筋群」およびハムストリングスの筋量にどのような影響が出るのかが調べられています(2)。

結果、大腿四頭筋・大臀筋・内転筋群は増加しましたが、ハムストリングスに関しては有意な変化はみられませんでした。

このような報告があるため、そして、パーソナルトレーナーとしての経験論からも、冒頭で「スクワットでハムストリングスをガッツリ鍛えることは難しい。スクワットはハムストリングスを鍛えるうえで効果的な種目とは言えない」とお伝えしたわけです。

フォームによって変わるとは思う。けれども…

これは、全ての種目に当てはまることだとは思うのですが、その種目で鍛えることのできる部位は、どのようなフォームなのかによって大きく変わります。

スクワットに限らず、ベンチプレスでも、デッドリフトでも、です。

そのため、お尻を大きく突き出し、上体をかなり強く前傾させるような、もうグッドモーニングと呼んで遜色のないようなスクワットにおいては、ハムストリングスをガッツリ鍛えることもできるかもしれません。

しかし、巷で認識されているごく一般的なスクワットのフォームでは、ハムストリングスをガッツリ鍛えることは難しいのではないかと思います。

 

<参考文献>

(1)Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations

(2)Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes